バルガ考
バルガは、かつてラオウ軍屈指の武将だったが、
ラオウ軍解体後は落ちぶれて、
コウケツの農奴になっていた男である。
ここでは、このバルガの人物像に迫ってみたいと思う。
彼バルガは、作中で
ラオウ軍屈指の武将と呼ばれているが、
ラオウ軍時代に具体的にどんな活躍をしていたのか、
それについてはよく分からない。
また、彼がラオウ軍に入る前の経歴についても、全くの不明である。
彼についてはっきり分かっているのは、
ラオウ軍没落後にコウケツの元で
農業労働に従事していたこと、
そのコウケツに対して仲間と共に反乱を
起こし、農場を制圧したこと、
そしてその後は農場を引き継ぎ、
農場経営をしていたと見られること、
以上である。
つまり、作中の描写から明らかになっている
彼の経歴を見た限り、
農作業に従事していたとか、
農場経営に携わっていたとか、
農業に関する経歴ばかり出てくる。
だからバルガは意外にも、
農業に一家言ある人物なのではないか。
以上から、バルガがラオウ軍に入る前の経歴について、農業に従事していたのではないか、とここでは推定したい。
いや、彼は農民ではなく地主であったかもしれない。
なぜなら彼は何人か部下を連れている。
バルガは地主で、その下の小作人が部下になったのかもしれない。
バルガが元農民または地主だったとして、
その彼がラオウ軍に入った理由は何だろうか?
それは勿論、核戦争後の無法状態の中で、
自分の大事な土地をラオウに守ってもらうためだろう。
ラオウがバルガの土地を保証してやり、
その代わりにバルガはラオウに忠誠を誓う。
その関係はあたかも、戦国大名と配下武将の関係にそっくりと言える。
バルガが「武将」という古風な呼び名で呼ばれているのは、そのためだろう。
以上が「バルガ農民・地主説」だが、
彼の素性については、他にも説がある。
先ほど、バルガのラオウ軍時代の活躍ぶりについては、よく分からないと言ったが、
実は、拳王軍にバルガらしき人物が登場する箇所がある。
ラオウ対五車星の炎のシュレンの対決の場面である。
行軍中の拳王軍に対し、待伏せしていたシュレンの部下たちが突然火矢を射かける。
混乱に陥る拳王軍。
その中でラオウの馬廻りの将校たちが、
盾を持ってラオウを庇いつつ
「出てこい 逃げはせぬ 姿を表せ~!!」
と怒鳴ったところ、
それに答えてシュレンたちが姿を表す。
ここで「出てこい 逃げはせぬ…」と怒鳴った将校、髭の感じがバルガに似ていないだろうか?
そしてこの将校がバルガその人だとしたら、
バルガの得意技は
「盾を持って敵の攻撃を防ぐこと」
だということが、これで判明する。
さて、この漫画の舞台となっている二十世紀の時点で、盾で攻撃を防ぐことを得意とする者とは、何者か?
それは機動隊ではないだろうか?
以上から、核戦争前のバルガは機動隊の隊長、
部下は機動隊員だったのではないか、
というわけである。
バルガの前身が機動隊だとすると、
核戦争で警察の組織も崩壊し生活できなくなったため、ラオウを頼ったということになろうか。
しかしバルガが警察の人間なら、
拳王軍のようなヤクザ者の集団に入るのには、
かなりの抵抗があったことと思われる。
まるで警察がヤクザに屈するようなものではないか。
そんなこと言っていられないほど困窮し、
部下たちの生活を守るため、やむなく決断したのか。
或いは、それが気にならなくなるほど、
ラオウの人物に惚れ込んだのか。
ラオウ配下の連中はともかく、
ラオウ本人は拳法家であってヤクザではない。
だからラオウの傘下に入っても、ヤクザに屈したことにはならない。そう考えて自分を納得させたのかもしれない。
そういえば、バルガたちがコウケツの農場を制圧した時、バルガは武器を手にしていなかった。
つまり、彼は素手で戦っていたことになる。
このことと、バルガが警察官上がりということを考え合わせると、バルガは柔道の達人だったのではないか。
だから、武器を持つ必要が無かった。
(北斗の拳の世界では、北斗南斗など一流の拳法の達人は、素手のままで、武器を持った相手を簡単にやっつけている。
バルガも同じなのではないか。)
ただ、この「バルガ警察官説」は、
さっきの「出てこい…」の将校がバルガだという、
限りなく怪しい仮定の上にのみ成立する説である。
(ただ髭が似ているだけではないかとも言える。)
それでも、バルガが自分のことを
「武に生きる者」と言っていることを考えると、
「バルガ警察官説」の方が、バルガ本人の発言と合っているとも言えるのである。




