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北斗の拳考  作者: 宇占海
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修羅の国の奴隷考

 修羅の国編で、羅将ヒョウが、

北斗琉拳の聖地羅聖殿の復旧工事を命じる

場面がある。


 この時、ヒョウの命で工事に従事する人々を見て、ケンシロウの一行が

「この奴隷の列は!!」

「羅聖殿に向かっています!!」

と言っているので、この工事で働いている人々は「奴隷」と呼ばれていることが分かる。


 この「奴隷」は、いわゆるボロとは違うらしい。

 奴隷たちは石を運んでいるが、

ボロは足の腱を切られているので、

力仕事はできないと思われるからである。

 このボロとも修羅とも違う「奴隷」とは、

どのような人々なのだろうか?


 修羅の国編で奴隷が登場するのは

この一ヶ所だけで、

情報があまりに少ないので確かなことは

言えないのだが、

修羅の国に奴隷がいるのは恐らく、

この国特有の事情によるものではないか。

 すなわち、修羅の国の男子は百回の死闘を

繰り返し、生き延びた者だけが生を許される、

というアレである。


 百戦百勝した人だけが修羅になり、

それ以外はことごとくボロにされるか

殺されてしまうのだとすると、

その修羅たちの生活を支えるために働くのは、

女性とボロということになる。

 そのうちボロは足の腱を切られているので、力仕事には向かない。

 だとすると、それこそ羅聖殿の復旧工事のように、力仕事が必要な時に困ってしまう。

 いや、その前に、労働力不足で修羅の国の

経済が破綻してしまうだろう。


 そこで実際には、百勝できずに負けた人を

殺さず、奴隷にして温存した。

 そういうことではないか。


 この推測が正しいとすると、

負けた人が奴隷にされる場合と、

ボロにされる場合との両方があったことになる。

 しかしどういう場合に奴隷にされて、

どういう場合にボロにされるのか?

 それは、よく分からない。

 体力があって労働に耐えられると判断された場合は、奴隷にしたのかもしれない。



注 奴隷というのは、古い時代には

洋の東西を問わず存在したもので、

借金を返せなくなった人が奴隷にされる

(いわゆる債務奴隷)とか、

犯罪を犯した人が罰として奴隷にされる

などということがあったようだが、

修羅の国の奴隷は、

それらとは違うような気がする。


 修羅たちは武辺者ぞろいで、

人にお金を貸すというような経済活動は

得手ではなかっただろう。

 だから、その修羅たちが人にお金を貸して

返せない人を奴隷にした、

という可能性は低い。


 また、犯罪を犯した人が罰として

奴隷にされたのであれば、

修羅の国の奴隷は犯罪者の集団ということに

なるが、その割には彼らは悪人ヅラをしていない。

 北斗の拳に出てくる悪人は、

ことごとく凶悪なご面相をしているものではないのか。

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