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北斗の拳考  作者: 宇占海
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北斗宗家考

 修羅の国編では、第二の羅将ヒョウと

ケンシロウが兄弟であること、

そして北斗宗家の血を引く男たちである、

という意外な事実が明かされる。


 この「北斗宗家」こそ

ケンシロウが生まれた一族であり、

修羅の国編の重要なキーワードの一つとなるのだが、

その割には、この北斗宗家についての情報は、意外なほど少ない。


 分かっているのは、

北斗神拳の創始者シュケンを出した家で、

北斗宗家の拳なる秘拳を伝えてきた一族、

といった程度のことである。


 しかしジュウケイによれば

「北斗宗家の拳こそ、神拳と琉拳の源流の拳」

というから、

北斗琉拳は北斗宗家の拳から分かれたものであるらしく、

北斗宗家の拳と北斗琉拳はいわば、

本家と分家の間柄ということになる。


 しかし修羅の国編を見る限り、

両者はただの本家分家の関係とは思えない。

 どういうことか。


 北斗琉拳の先代伝承者ジュウケイは、

カイオウに向かって

「うぬはあくまでもヒョウの従者」

「ヒョウのために生き、ヒョウのために死ぬ下僕」と言っていた。

 カイオウとヒョウの試合の前に、

ヒョウに遠慮して負けろとまで言った。


 しかも、その時にジュウケイは

「われらは北斗の屑星。

主を越えることは許されぬ」

と言っているから、

カイオウだけでなく師匠のジュウケイも、

北斗宗家の下僕であったらしい。

 というより、それを当然のように言っている

ジュウケイの口振りから考えると、

歴代北斗琉拳伝承者は皆、

北斗宗家の下僕だったのかもしれない。


 しかし、なぜ北斗琉拳の伝承者ともあろう者が、こんなに卑屈にならなければならないのか。

 普通の本家分家の関係なら、

分家だからというだけで本家に絶対服従しなければならない、ということはあるまい。

 ましてや北斗神拳と同等の実力を持つ拳の

伝承者ではないか。


 そういう疑問があるわけだが、

この謎を解く鍵は、やはり作中にある。


 修羅の国編をよく見ると、

北斗宗家の人々は、拳法家としては、

いささか変わった人々だったらしいことが

分かる。


 北斗宗家の拳は秘拳というから、

その拳を宗家の人々のみで伝承していたのであって、

普通の拳法家のように、

弟子を集めて自分の拳を伝授する、

ということはしていなかっただろう。

 それどころか、自分の拳を他人に見せることすら無かったのではないか。


 つまり、拳法家と名乗ってはいるが、

その拳を他人に見せない。他人に教えない。

自分たちの一族だけでひっそりと拳を受け継いできたという、拳法家としては、いささか変わった人々だったと思われる。

 それでいて北斗琉拳伝承者を完全に服従させていた。

 これらの事実は何を意味するのか?


 まず、北斗宗家は代々拳法家の家、

それも名門の家なのだから、

自分の道場を持っていただろう。

 しかし自分では拳を弟子に教えない。

 そこで分家筋のジュウケイを雇って弟子に

教授する仕事を任せ、自分は道場の経営者としての立場に専念していたのではないか。


 これなら北斗宗家とジュウケイは、

雇用主と使用人の関係、

ないしは主従関係になるから、

北斗宗家がジュウケイを服従させることが可能になる。


 しかし、ジュウケイはただの雇われ師匠でもなかった。

 作中でジュウケイが、赤ん坊のケンシロウをリュウケンのもとへ送り出すシーンがある。

 これについて、

ジュウケイから見てケンシロウは、

主家の御曹司にあたるわけだから、

そのケンシロウをリュウケンのもとへ送ると決めたのは、ジュウケイ本人ではあるまい。

 決めたのはジュウケイの主人ーー先代の北斗宗家当主ーー恐らくはケンシロウの父か母ーーであろう。

 そしてその主人の命を受けて、ジュウケイがケンシロウをリュウケンのもとへ送り出した。

 そのような重要な任務を任されるジュウケイは、ただの雇われ師匠ではない。

 北斗宗家の家庭内の事情にも深く関わる、

北斗宗家の大番頭というか、家宰とでも呼ぶべき立場だったのではないか。


 恐らく、ジュウケイが北斗宗家に仕える姿勢は、真摯かつ誠実なものだったのだろう。

 それで先代の北斗宗家当主の信頼を得て、

大番頭を任せられるに至ったものに違いない。


 そうなると、よく分からないのが、

ジュウケイがヒョウの記憶を奪おうとした、

というエピソードである。

 ヒョウの記憶を奪うことを、ジュウケイの主人が許したとは、ちょっと思えない。


 そもそもジュウケイの主人なる人は作中に

全く登場しないことから考えて、

ジュウケイの主人は早くに亡くなったのではないか。

 そして跡取りのヒョウやケンシロウはまだ

子どもだから、彼らが成長するまで、

番頭のジュウケイに全権委任されることになった。

 だからジュウケイの判断でヒョウの記憶を一時停止するーー勿論後で元に戻すという前提でーーことが可能になったのではないか。

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