羅将ヒョウ考
修羅の国の第二の羅将ヒョウは、第一の羅将カイオウに騙されてケンシロウと敵対したが、やがて失われていた記憶を取り戻し、ケンシロウの味方になった。
これを知ったカイオウは、配下のゼブラや陸戦隊を差し向け、ヒョウの抹殺を図る。
かくしてゼブラ達がヒョウに襲いかかるわけだが、ここでちょっと待ってほしい。少しおかしくないだろうか?
ヒョウは第二の羅将だから当然、ゼブラなどよりも格上であり、ゼブラたちもそれはよく分かっているはず。
カイオウの命令とはいえ、何のためらいもなくヒョウに打ちかかる、ということができるものだろうか?
そういった違和感を感じたわけだが、この違和感を解く鍵は、やはり作中にある。
まず、修羅の国のトップはカイオウであり、
ヒョウはそれに次ぐナンバー2。
修羅の国編を読めば、そのことは間違いない。
しかし、だからといって、
カイオウが修羅の国の大統領で、
ヒョウが副大統領に相当するのかと言えば、
そういうことではないらしい。
ヒョウは確かにナンバー2だが、
副大統領とか副総理とか、
そういうものとは違うようなのだ。
なぜなら、羅将ヒョウや羅将ハンは、
各々自分の城、自分の領地を持っている。
だから、彼らは普段は自分の城にいて、
自分の領地を治めているのであって、
日常的にカイオウの側にいて補佐しているわけではないらしい。
そこが、アメリカの副大統領や日本の副総理などと違う。
カイオウとヒョウの関係は、
大統領と副大統領の関係のようなものではなく、
強いて言えば、徳川将軍と御三家の関係に似ているのではないか。
御三家の当主は徳川の一族だから、
幕府の老中などより格上とされており、
そういう意味では、将軍に次ぐナンバー2と言えるが、
その職務は自分の領国を治めることであって、
基本的に幕政に関与することは無い。
ナンバー2ではあるが、ローカルな存在である。
御三家は、地位が高いけれど幕政に関する権限を持っていない。
幕政を統括する権力を持っているのは老中だが、彼らは御三家ほど地位が高くない。
結果的に、どちらにも権勢が集まりにくいというか、お互いにチェックアンドバランスが働く、うまい仕組みと言える。
もっとも、御三家と老中が露骨に対立する、ということはあまり無かったようだが、それでも全く無かったわけではない。
幕末に、大老井伊直弼を首班とする幕閣が、反対派の大弾圧、いわゆる安政の大獄を強行しているが、この時に、水戸藩主や尾張藩主も処罰されている。
それを考えるとさしずめ、ここではヒョウが水戸藩、ゼブラが井伊大老の役を振られた、というところであろうか。




