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北斗の拳考  作者: 宇占海
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天帝・ファルコ考 後編

 ここで先ほどの大佐の回想場面に戻ろう。

 大佐が将軍に「はりこのトラ」と言われて馬鹿にされた時、その将軍の邸には、「政府の高官、大企業家たち現実に国家を動かしている連中」がいたという。


 「政府の高官」とは、政治家や高級官僚のことだろう。

 また、その政府高官や大企業家を家に招いて酒を飲んでいた将軍も、彼らの仲間だったに違いない。

 そう考えると、政治家・高級官僚・大企業家・将軍の四者が結託して国を動かしていた、という実態が見えてくる。

 恐らく、天帝ルイは子供でまだ政治ができないからという理由で、彼ら四者で内閣を組織し、国を牛耳っていたのではないか。

 そして、これは何かに似ていないだろうか?

 私は、明治憲法下の日本に似ていると思う。


 明治憲法下の日本では、天皇が主権者とされていたが、実際に天皇がリーダーシップをとったわけではない。

 天皇の下で別の人々がリーダーシップをとっていた。

 その人々とは、明治期は藩閥、大正期は政党、昭和初期は軍部と変わるわけだが、その一方で、明治から昭和初期まで変わらなかった点も多い。


 まず、軍部の力が強いこと。

 軍部は、陸軍大臣と海軍大臣を内閣に送り込むというかたちで、常に政権に参加し続けていた。

 また、高級官僚は社会のエリートと見なされ高い地位を誇っていたこと、財閥が常に隠然たる影響力を持ち続けていたことも一貫して変わらない。


 そう考えると、戦前の日本はおおむね、政治家(藩閥政治家も政党政治家も含む)・軍部・官僚・財閥といった人々が連合して国を動かしていたと言える。


 そしてこれは、政治家・官僚・大企業家・将軍の四者が結託して政治を牛耳っていたという天帝の国と、見事な相似形をなしているではないか。

 以上から、核戦争前の天帝の国は、明治憲法下の日本に似た体制だったのではないかと想像できる。


 そうした体制の中でファルコは、天帝のそば近くに仕えていた。

 その地位は、長い伝統と格式を誇る役職ではあるが、政治的な力は持たない。そういう立場だったと思われる。

 そしてこれに似た存在が、実は日本にいる。


 日本の天皇には、侍従と呼ばれる側近がいる。

 侍従は、その起源を奈良時代までさかのぼる、伝統と格式ある役職だが、あくまで宮中において天皇を補佐するものであって、政治に介入することはない。

 その原則は、明治憲法下の、天皇が権力を持っていた時代でも変わらなかった。


 天帝の国が明治憲法下の日本に似てるとしたら、ファルコは儀仗兵というより、この侍従に近い存在だったかもしれない。



注 ここでは、核戦争勃発時の天帝はルイという前提で考察してきたが、当時の天帝がルイではなく、その先代だったとしたら、どうなるだろうか。


 その場合、その先代の天帝が自ら政治をやっていた可能性があるわけだが、それでも、政治を実質的に主導していたのは天帝ではなく、政治家・官僚・大企業家・将軍の四者だったと私は考える。


 なぜなら、ゴッドランドの大佐はこう語っている。

「みにくいブタどもは、おのれの利益確保のために一番愚かな方法をとった!

 押してはならないボタン・・・やつらはそれによって一挙に解決をはかった!!」

 この「みにくいブタども」とは、政治家など四者のことであり、「押してはならないボタン」とは、核のボタンのことである。

 よって、核のボタンを押すという決断をしたのは彼らであるに違いなく、よって、当時の政治を主導していたのも彼らだと言えるのである。

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