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北斗の拳考  作者: 宇占海
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天帝・ファルコ考 前編

 ラオウ死後、つかの間の平和な時期を経て、帝都政権による圧政の時代に移行するわけだが、その帝都政権の名目上の主宰者が天帝である。


 「名目上の」とつけたのは、実際には総督のジャコウが権勢を振るい、天帝に実権が無かったからだが、その天帝を守護する元斗光拳のファルコは、こう語っている。

「わが元斗光拳は天帝を守護するのが宿命

 わが一族二千年の歴史をおれの代でくつがえすわけにはいかんのだ。」


 このファルコの言によれば、元斗光拳の一門は二千年もの間、天帝を守ってきたことになる。

 つまり二千年前から天帝なる人が存在し、連綿と続いてきた。

 だから199X年の核戦争勃発時にも当然、天帝は存在していたことになる。

 それも、ただ存在していたのではなく、強い政治権力を持って人々の上に君臨していた。

 当時の天帝が強い権力を持っていたと、なぜ言えるのか?それにも勿論、理由はある。


 天帝ルイと妹リンの、双子の姉妹が生まれた時のことである。

(それは明らかに核戦争前の話であることに注意。)

 この時ジャコウが、

「このまま双星が育てば、天が二つに割れよう」

と発言している。

 この言葉の意味は、

「このままルイとリンの双子が成長すれば、いずれ天帝の地位を巡って、ルイを推す派閥とリンを擁する派閥とに分かれて権力闘争が始まるであろう」

ということである。話の前後の流れから見て、他に解釈のしようがない。

 そして天帝に権力が無かったら、そのような権力闘争が起こるわけがない。

 だから、核戦争前の天帝は強大な権力を持って君臨していた、と言えるのである。


 当時、天帝がこの国を支配していたのだとしたら、199X年に核のボタンを押して核戦争を引き起こしたのは、天帝ルイなのだろうか?

 彼女こそ最大の戦争犯罪人なのだろうか?

 ・・・と、そんなはずは無い。

 当時のルイはまだ子供なのだから、自分で政治をやっていたわけがない。

 幼帝のルイに代わって誰かが権力を代行していたのだろうが、それは誰か?

 天帝の側近であるファルコやジャコウたちだろうか?

 それも違うと思う。


 当時のファルコは既に、天帝を守る将軍だったかもしれない。

 しかしだからと言って、当時のファルコが天帝を擁して権力を振るっていたとは思えないのだ。

 そう考えるのにも理由がある。


 北斗の拳の初期に、ゴッドランドの大佐なる人物が登場する。

 彼は精鋭の特殊部隊を統率しており、自身も拳法の達人なのだが、それでも核戦争前は、周囲から軽く見られていたらしい。

 上司の将軍が大佐に向かって、こう言い放ったという。

「おまえの部隊など今や、はりこのトラにすぎんのだよ。

 おまえのような人間がなん人いようと、ミサイルのボタンを押すわしの指一本にはかなうまい!」


 要するに、いくら拳法が強くても、ミサイルが飛ぶ現代戦で、それが役に立つわけがない。

 所詮(しょせん)張子の虎だ。

 核戦争前の人はそう考えていた。

 そのような空気の中で、拳法家のファルコが権勢を振るえたとは思えない。


 そもそも、ファルコが天帝の警護役に選ばれた理由は何だろう?

 元斗光拳の一門が古くから天帝を守護してきたという歴史があるから、その伝統に従った結果、ということであれば、その地位は多分に儀礼的、儀仗兵的なものだったのではないか。

(現代のローマ法王庁は、古くからの伝統に従いスイス人衛兵を雇っているが、彼らは現代でも槍や剣で武装しているなど、実戦的というより儀礼的な性格が強い。

 これに似ていないだろうか?)

 ファルコもまた、陰では張子の虎と言われて笑われていたかもしれない。


 当時のファルコの実態が単なる儀仗兵、或いは儀仗隊の将校クラスだとすると、彼の上司のジャコウは儀仗隊の隊長といったところで、やはりそれほどの力があったとは思えない。

 以上から、核戦争前に政権を担当していたのは、ファルコやジャコウたちでもないと思う。

 では誰が政権を担当していたのか?


(後編に続く)

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