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北斗の拳考  作者: 宇占海
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KING考 前編

 ケンシロウはジードを倒した後、武装集団「KING」と対決する。

 KINGは通行人や村を襲って物を奪うなど、ジードに似たこともやっているが、注目すべきは、KINGは、その根拠地のサザンクロスに多数の人を集め、奴隷にしてこき使っていたことである。


 奴隷を多数集めて使おうとすれば当然、その多数の奴隷に毎日食事を与えて、食べさせなければならなくなる。

 だから、かなり財力がある者でないと、多数の奴隷を従えることはできない。

 いくら奴隷を集めても、すぐに餓死させてしまっては意味が無いのだ。

 そう考えると、多数の奴隷を使っていたKINGの手元には、食料や生活物資のストックが大量にあったと考えざるを得ず、おそらく食うや食わずだったであろうジードと違い、相当豊かだったに違いない。

(作中に、ジードが食うや食わずだったという描写は無い。しかし、ジードの部下が水を奪って大喜びする場面があるので、水には困っていたことが分かる。他の物資も豊富に持っていたとは思えない。)


 それでは、KINGの指導者のシンは、なぜ、これだけの富と組織を短期間に築くことができたのか?


 そもそもこのシンという男は、「北斗の拳」の物語で重要な登場人物の一人であるにもかかわらず、そのプロフィールについて分かっていることは、意外に少ない。

 分かっているのは、南斗聖拳なる拳法を使うこと、それもただの使い手ではなく、南斗六聖拳の一人に選ばれるほどの凄腕であること、それぐらいである。


 その南斗聖拳についても不明な点が多いが、

「南斗は表・・・陽拳ゆえ流派もさまざまに分派し表の世界に伝承していった」

と後にレイが語っていること、

作中に「南斗聖拳総派百八派」という言葉が出てくることなどから考えて、

百八派に分かれた南斗聖拳の各派が、各々道場を構えて、人々に南斗聖拳を教えていたことが想像できるのではないか。

 おそらく北斗の拳の舞台となっている世界には、多くの南斗聖拳道場があり、若者たちが通っていたに違いない。


 その沢山ある南斗聖拳道場のひとつに、シンは入門した。

 そしてそこで頭角を表し、南斗六聖拳の一人と認められるまでになったのだろう。


 しかし、それほどの達人であっても、シンの年齢から考えると、彼が自分の道場を構えて道場主になっていた、とは考えにくい。

(シンの年齢も不明だが、ケンシロウと一人の女性を争ったという話の筋から考えて、おそらく二十代前後だろう。)

 シンが二十代前後の若者とすると、おそらくシンの師匠にあたる人が道場主であり、シンはその師匠のもとで、師範代のような立場で弟子たちに稽古をつけてやっていた。そういったところだろう。


 そのように、シンは元々、道場で師匠や弟子たちに囲まれて暮らしていたのだとしたら、その立場を利用した、ということは考えられないだろうか?

 南斗聖拳道場師範代の地位を利用して、弟子たちを配下とし、道場の運営費を軍資金に流用してKINGを立ち上げたのではないか ー いや、それは無い。


 なぜなら、シンの配下の連中は、誰も南斗聖拳を使わないからである。

 使わないどころか、シン配下のクラブにいたっては、シンのことを「正体はだれも知りません!得体の知れないおそろしい拳法を使います」と言っており、南斗聖拳という言葉すら知らない。

 だから、シン配下の連中は、南斗聖拳の弟子ではない。


 とすると、シンは南斗聖拳の道場とは無関係に、自分の力だけでKINGを立ち上げ、大組織に育てたことになる。どうして、そのようなことができたのか?

 さらに言えば、彼は南斗聖拳道場師範代の地位を捨てて、盗賊の親玉になり下がったとも言えるわけで、何故そんなことをしたのか、という疑問も同時に生じる。


 思うに、シンの道場は核戦争で潰れてしまったのではないか。

 道場は破壊され、師匠や弟子たちは死亡するか離散してしまい、独り残されたシンは、誰も彼のことを知らない他所の土地へ行き、そこでKINGを立ち上げた。


 だとすると、道場から放り出されて一介の浮浪人になったシンが、短期間で大組織を作れたのは何故か?


(中編に続く)

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