ゴンズ考
ゴンズは拳王軍の一員である。
彼は拳王軍支配下の村で、
村人たちを捕まえて投げ飛ばし、
その飛距離を競うというゲームを
仲間とやっていた。
そしてゴンズが新記録を出したが、
その直後にケンシロウが出て来て
ゴンズを蹴り飛ばしたところ、
もっと遠くまで飛んだ。
それで新記録を更新されてしまった男である。
ゴンズは遊びで人を投げ殺すという、凄まじい男だが、この時、彼は、捕まえた村人に鎖をつけて、ハンマー投げのように振り回して投げている。
それを仲間とやっていたわけだから、
どうやらゴンズとその仲間たちはハンマー投げができるらしい。
ということは、彼らは陸上部だろうか。
また、ゴンズたちには頭と呼ばれる上司がいるが、この頭がさしずめ、陸上部の監督ということだろうか。
ゴンズたちが陸上部だとしたら、どこの陸上部か。
高校か、大学か、それとも実業団か。
ゴンズたちは、どう見ても高校生や大学生ではなく大人だから、きっと実業団だろう。
実業団なら、母体となる企業があるはずだが、どんな企業だろうか。
ここでもう一度、ゴンズが村人を投げる場面を見ると、さっきの繰り返しになるが、村人に鎖をつけて投げている。
言うまでもないことだが、こんな人間を投げるための鎖などというものは、現実には存在しない。
だからこの鎖は、ゴンズたちが「人間ハンマー投げ大会」をやるために、わざわざ造ったとしか思えない。
どうしてこんな物を造ることができたのか。
ゴンズたちの陸上部のオーナー企業がスポーツ用品メーカーで、元々ハンマー投げのハンマーを製造していたとしたら、どうだろうか?
それならハンマーに付属するワイヤーの構造を熟知しているから、その応用で「人間ハンマー投げ」の鎖を製造することも可能ではないか?
以上から、ゴンズたちの陸上部のオーナー企業は、スポーツ用品メーカーと推定したい。
それでは、ゴンズたちの上に、このオーナー企業がいるのかと言えば、どうもそうではなさそうだ。
なぜなら、ゴンズの頭の上には拳王がいるだけで、他に上司がいるようには見えない。
(ゴンズの頭が村の長老に、「うぬは拳王様からこの村を預かったわしに逆らう気か」と語っているのが参考になろう。)
だとすると、この頭が陸上部監督だけではなく、オーナー企業の社長も兼任だろうか。
そう考えれば状況は矛盾しない。
それにしても、このオーナー企業は普通の企業ではない。
世紀末の時代にスポーツ用品を買う人はそういないだろうから、普通のスポーツ用品メーカーなら経営を続けられないだろう。
それに第一、ゴンズたちは、どう見てもカタギの人ではない。
よって、このスポーツ用品メーカーは、普通の企業ではなく、ヤクザのフロント企業と考えられる。
そう考えていくと、ゴンズの頭は、陸上部の監督、スポーツ用品メーカーの社長、ヤクザの組長という三足のワラジを独りで履いていたことになる。
その上に、上部団体である拳王軍との付き合いも欠かせないわけだから、ゴンズの頭はなかなかに多忙な毎日を送っていたに違いない。
だとすると、頭の右腕であるゴンズも同様だっただろう。
ゴンズや頭は「人間ハンマー投げ大会」という、
残虐だけど阿呆な遊びに興じていたものだから、
どうしても彼らのことがバカっぽく見えてしまうのだが、実は結構苦労していたのかもしれない。
以上でゴンズや頭の知られざる一面を垣間見ることができたと思うが、彼らについては、まだ残された謎がある。
それは他でもない、なぜ拳王軍はゴンズたちのような陸上部を仲間に引き入れたのか、ということである。
これについて、まず、北斗の拳の世界には、野盗の襲撃を防ぐため、城壁に囲まれた村や町がよく登場する。(マミヤの村やカサンドラなど。)
そのような村や町を攻撃する場合、ハンマーを投げて門や建物を破壊するという戦術が有効と考えられる。
ゴンズたちは、そのようにして敵の建物などを破壊するという役割が期待されたのではないか。
古代や中世のヨーロッパなどの攻城戦では、投石機を使って門や城壁を破壊するという戦術がとられたというが、それに似ている。
だからゴンズたちは、遠くから敵を攻撃するのは得意だが、近接戦闘には慣れていなかったために、ケンシロウやリュウガに会うと、なす術もなく敗れてしまった。
自分の長所を生かせなかった不運な男たちというべきであろうか。
しかし彼らのそれまでの行いが悪すぎたから自業自得と言うべきだろう。




