ユダ考 後編
ユダはレイとの決闘の時に、ダムを爆破してその場を水浸しにさせるという戦術をとった。
あらかじめレイがいる村の地形や地質を調査し、
ダムを破壊すれば水が村へ流れること、
それで村が水浸しになれば砂地が流砂と化すこと、
その結果レイは足を取られて不利になること、
全て計算の上での作戦である。
が、考えてみれば、そんな緻密な調査や計算、誰でもできるものではない。
というより、そんな計算ができるのは、土木の専門家だけだと思う。
そう、ユダは実は、土木の専門家だったのだ。
(ユダ配下に専門家がいて、そいつがこの作戦を考え、計算したということも考えられるが、
ユダ配下のコマクの
「ユダ様は本当に頭のよいお方
あの城壁に囲まれた村の地形や地質などすべて
計算ずみ」
という言葉から考えると、
ユダが自分で計算したと考えるべきだろう。
配下の誰かが計算したのなら、
その計算した人が頭が良いのであって、
ユダが頭が良いことにはならない。)
おそらく若き日のユダは、南斗聖拳の修行の傍ら大学に通い、土木工学か何かを学んでいたのではないか。
ユダは見かけによらぬ努力家だったのだ。
しかし土木関係の技術を持っていたのなら、それこそ、核戦争で破壊された国土の復興で大活躍できたかもしれないのに。
それだけの能力を持っていながら、それを少しも良いことに使おうとしなかった。
惜しいことである。
注1 ダムを爆破する作戦を考えたのはユダだが、実際にダムへ行き、爆破したのはコマクである。
つまりコマクは発破の技術を持っていることになる。
素人だったら火薬の仕掛け方も分からないだろう。
だとするとコマクもまた土木関係の技術者で、その縁でユダと知り合ったのかもしれない。
趣味はボルダリングで、職業が土木屋といったところだろうか。
注2 ユダの好敵手のレイは、
「おれは戦うことでしかケンやおまえにカリをかえせない男だ」と語っていた。
俺は戦う以外には取り柄がない不器用な男 ー レイは自分で自分のことを、そう思っていたのではないか。
実際に不器用だったかもしれぬ。
そこへ行くと、一流の拳士であると同時に土木の専門家でもあるユダの方が、レイより遥かに器用だった。
にも関わらず、そのユダがレイに対して、終始羨望の念を抱き続けていたという事実を、どう考えたら良いのだろうか。




