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北斗の拳考  作者: 宇占海
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ジード考

 ジードは北斗の拳の初回に登場する悪役である。

 荒野をバイクで縦横無尽に走り回り、通行人や村を襲って食糧などを奪う凶悪な野盗だが、ここで疑問。

 彼ジードは、核戦争前は何をやっていたのだろうか?


 彼が核戦争前から野盗をやっていた、ということはあるまい。

 戦争前の平和な時代に、そんな凶悪な所業を繰り返していたら、あっという間に警察に捕まってしまうだろう。

 かと言って、堅気の人だったようにも見えない。

 だとしたら、彼は核戦争前はどんな人物だったのか?それを考えてみたい。


 それを想像する手がかりはあまり無いが、ジードもその仲間たちもバイクの運転に長けていることから、暴走族上がりではないかということは想像できる。

 もっとも、暴走族だからといって、平和な時代に人を殺すなどというような、凶悪なことはしていなかっただろう。

 町の不良グループだから、せいぜいが、夜中に人通りのない裏道で、こそこそカツ上げをするぐらいが関の山だったに違いない。

 それが核戦争で秩序が崩壊し、いくら悪事を働いても警察に捕まらないと分かったので、喜んで昼間から出てきて略奪をやっていた。そういうところだろうか。


 そうして調子に乗って暴れすぎたために、ケンシロウに会って倒されてしまったわけだが、もしジードが運良くケンシロウに会わずにすんだら、そのまま大暴れを続けることができただろうか?


 結論から言えば、それはおそらく難しかっただろう。

 なぜなら、ジード達の縄張り内に入ると襲われて殺される、という噂が広まったら、誰もそこを通らなくなる。

 何しろ、ジード達がいるのは見渡す限りの荒野なのだから、そこを迂回して通るのは簡単なはずなのだ。

 誰も通らなかったら、さすがのジードも干上がってしまう。


 それでは、ジード達のいる場所がただの荒野ではなく、交通の要衝だとしたら、どうだろうか。

 地域の物流や人の流れの要の位置にあり、そこを通らないと、人や物の流れが滞って、地域住民が皆困ってしまうとしたら・・・?

 その場合は、危険を冒して通る人はいるだろう。

 例えば、村から村、町から町へと旅して物を売り歩く旅商人のような人々は、商売だから通るかもしれない。


 その代わり、ジードに殺されてはたまらないから、彼らはジードより強力な用心棒を何人も雇い、重武装して通るだろう。

 その旅商人は、用心棒に用心棒代を払わなければならないが、その分は商品の販売価格に上乗せすれば良い。

 そんなことされたら、やはりジードは手を出せない。ではどうするか?


 こうしたらどうだろうか?

 ジードが通行人に会ったら、すぐに殺して物を奪うのではなく、一定額の通行料だけ取って、あとは見逃してやるのだ。

 これなら、高い賃金を払って用心棒を雇うより、ジードにおとなしく通行料を払う方が得だ、と旅商人たちが判断し、通行料を払ってくれるかもしれない。(何しろ、ジードは大男で見るからに強そうだから、ジードより強い用心棒を探すのはひと苦労だろう。用心棒代も馬鹿にならないに違いない。)

 かつて、中世の瀬戸内の海賊は、自分の縄張り内を通行する船から警固料を徴収し、警固料を払わない船からは略奪したと言われているが、それと同じである。

 瀬戸内の海賊方式を取り入れることこそが、ジードが生き延びる唯一の道だろう。

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― 新着の感想 ―
ジード=暴走族上がり この発想はありませんでした。言われてみれば、初めっからあのナリだったわけもなく… しかしあのガタイですから、結構大きな族集団だったのかもしれないですね! 考察、とても楽しいです!
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