「南斗六聖拳の崩壊」考
南斗六聖拳のレイとユダとの決闘の場面で、レイが「南斗六聖拳の崩壊」について、こう語っている。
「あの戦争後、南斗六聖拳は、二派に分裂した!
平和を望む者と覇権をめざす者とに!!
この時ユダは裏切った!
平和を望む声が優勢と見るや 自分の配下南斗二十三派をひきつれ恐怖の覇王・拳王と手を結んだのだ!!
一星崩れる時・・・
残る五星もまた乱れ
この世に巨大なる悲劇のタネはまかれた!!」
詩的な表現で語っているが、この「南斗六聖拳の崩壊」とは、単に南斗六聖拳の6人が仲違いしたという意味ではなく、他の流派をも巻き込んだ、南斗の世界の大分裂劇であったらしい。
ユダが「配下の二十三派を率いて」裏切ったと言っていることが、その辺の事情を語っている。
更に、南斗を束ねる「南斗聖拳協会」とでも呼ぶべき組織の存在が推定されることを考え合わせると、このように考えられる。
南斗百八派の中で、ユダを支持する流派が二十三派あり、彼らがユダをリーダーに担いで「南斗聖拳協会」の組織を割り、自分達の団体を立ち上げた。そして拳王が彼らの背後で糸を引いていた。
これを見て、同じ南斗六聖拳のサウザーも同様に、自分を支持する流派を率いて組織を割ったらしい。
後にサウザー率いる聖帝軍なる集団が登場するが、そこには南斗聖拳の拳士も含まれていることと、上記の南斗分裂の経緯から考えると、聖帝軍の実態は「南斗聖拳協会サウザー派」とでも呼ぶべきものではないか。
(なお、ユダが南斗から離反する時に、サウザーも背後で動いていたらしい。)
その後、残ったレイやシュウなどが、分裂した南斗の立て直しを図ったのかといえば、そうはしなかったらしい。
レイなども他の南斗の人々と別れて、単独行動していた。
なぜか?
レイやシュウは南斗の一員だが、同時に、南斗水鳥拳ないし南斗白鷺拳という流派の伝承者でもある。
伝承者であれば、自分の流派の道場があり、弟子もいて、南斗聖拳を教えていただろう。
というより、普段は各自の道場にいて、必要があれば南斗聖拳協会に出席するというのが彼らの日常だったのではないか。
そこへ核戦争で、国中が破壊されてしまった。
そうなるとレイたちも各々の地元に戻り、自分の道場を立て直さなければならないということになり、去っていった。
そうして人がいなくなった南斗聖拳協会は機能を停止し、南斗六聖拳の六名はバラバラに行動するようになった。
「南斗六聖拳の崩壊」とは、そのような経緯をたどったのではないか。
それは、室町幕府の解体過程に似てるかもしれない。
もともと室町幕府では、将軍を中心に守護大名たちが集まって幕府を支えていた。
そこへ応仁の乱で国中がガタガタになったため、大名たちは各々国へ帰って領国を立て直すと言って、幕府のもとから去っていった。
その結果、京都で将軍を支える者がいなくなり、幕府は衰退していった。
南斗も、これに似た経緯をたどったのかもしれない。




