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北斗の拳考  作者: 宇占海
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拳王親衛隊考

 親衛隊とは普通、地位や身分が高い人に()しく仕え、護()をする部()のことをいう。

 だからカサンドラに現れた拳王親衛隊のザルカたちは、普段は拳王ことラオウの側近くに仕えていたものと思われる。


 彼らは登場して早々、簡単にケンシロウに倒されて出番が終わるので、どうも小物っぽいイメージが強いのだが、しかしラオウに近侍していたぐらいだから、少なくともラオウからは信任されていたと考えられる。

 ラオウも信用できない人間を側において使おうとはしないだろう。


 だが、それでは何故、特に取り立てて優秀というわけでもなさそうな彼らがラオウから信頼され、親衛隊を任されていたのだろうか?


 想像するに、彼らはラオウに早くから仕えた古参の手下なのではないか。

 先にウイグル獄長を外様の雄藩に例えたが、同じ例えでいくと拳王親衛隊は、古くから徳川家に仕えて家康と苦労を共にしてきた旗本、といったところであろうか。

 ことによると、拳王軍創設時からのメンバーということで、軍内部では重んじられていたのかもしれない。


 もっとも、早くからラオウに仕えたと言っても、それは拳王軍創設時か、その後ということになる。


 核戦争前には拳王軍というものが存在していなかったのだから、ザルカたちもラオウとは関係ない所で生活していたに違いないわけだか、だとすると、どこで何をしていたのだろうか?


 これを想像するのは難しいが、ここでザルカたちが随分個性的な服装をしていることに注目したい。

 彼らは頭にターバンを巻き、アラブ風の格好をして、手には半月刀を持っている。

 このような風貌の男たちは何者か?


 それは、アラブ流剣舞を見せる芸人ではないだろうか?

 彼らが普通の悪党だったのなら、頭にターバンを巻く必要はない。

 芸人だと考えて初めて、ターバンを巻く必然性が生まれる。


 そう考えていくと、原作には描かれていない拳王軍創設の経緯について、こんな想像ができるのではないか。


 北斗神拳の次期伝承者がケンシロウに決まった後、ケンシロウの義兄で伝承者候補の一人だったラオウは、北斗神拳の道場から立ち去った。

 そうして独り旅に出たラオウは、どこかでザルカたちの芸人集団と出会い、彼らを配下にして、拳王軍を旗揚げした。


 だとすると、これは意外な事実だ。

 彼らは拳王軍という重々しい名前をつけているが、その実態は芸人一座だったのか?

 拳王とは芸人の座長の別名だったのか?

 拳王軍は人々に芸を見せて金を取り、それを資金源にしていたのだろうか?


 と、そこで待ってほしい。

 ザルカたちは普通の芸人ではなく、悪党化した芸人だということを忘れてもらっては困る。

(普通の芸人なら刀で人を殺したりはしない。)

 こんな恐ろしげな連中の芸を見に行きたいとは、誰も思わないだろう。


 それならどうするか?

 誰も芸を見に来なかったら収入が入らないから、チケットを押し売りするというのは、どうだろうか?

 拳王軍は広大な地域を支配しているのだから、その支配地域内で営業する商店などにチケットを買うよう強要するのだ。

 体の良いみかじめ料である。昔の日本のヤクザもやっていた手口だ。


 これなら安定的な収入を維持することができる。

 そうだ、これに違いない。

 意外なところから拳王軍の資金源の一端をかいま見ることができたと思うのだが、いかがだろうか?

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