知らない設定②
長い廊下を歩きながら私はスレイに尋ねる、
「父様はなんで私を呼んだの?」
「知りません。」
ピシャリと言い放った。
「そう、」
私の言葉を遮り、
「そういえばお嬢様は本当にキャルシー様を覚えていないのですか?」
スレイは口元を手で覆い隠し面白いものを見たと言わんばかりの顔を必死に隠していた。
全然隠せてないが。
「どこから話を聞いていたのよ」
私は呆れた表情で尋ねる。
「お嬢様が苦笑いで、《えーと、どちらさま?》と尋ねたあたりです。」
スレイは裏声で私の声真似をしてのけた。
「それほぼ全部じゃない。もしかして今私の声真似してた?全然似てないわよ。」
スレイの声真似が思った以上に面白くクスクスと肩を震わせながら、スレイの肩を叩いた。
ゲームの時と実際に会うとではやっぱり印象が全然違う。スレイはもっと関わりを持たない人だと思っていたのに、みんなが好きになる理由が少しわかった気がした。
私はさっきあった彼について考える。
キャルシーという人物のことはよく知らない。
ゲームに登場していた記憶がないから他キャラクターとの交流など計り知れない。スレイは一応面識があったようだし、次キャルシーに会った時の対応を改めないとなと思っていると、扉が見えてきた。
コンコン
ガチャ
「失礼します。旦那様、お嬢様をつれてまいりました。」
スレイは深々とお辞儀をし扉を開けた。
「おお、ありがとうスレイ助かったよ。」
この私の部屋で優雅に紅茶を飲み、目元のシワをぐしゃっとさせ微笑みかけているのが姉のエレナと私の父親だ。
「フレイシア急に呼び出してすまないね。ここに座りなさい。」
と自分の目の前の椅子を指さした。