終わりの始まり③
「ああ、君がフレイシアか。君の父上から話は聞いているよ。私は騎士団長のユードリックだ。よろしくな。」
ユードリックは女によくモテるとキャプションに書いてあったのを思い出したが、本人を目の前にすると周りの女性がほっとかないのもよくわかる。
こんな爽やかで顔の整った男性はそうそういないだろう。
「そうなんですね。こちらこそよろしくお願いします。」
定型文に続きこんなところで何をしているのか聞こうと思うと、
「君の父上から呼ばれていたが予定より早くついてしまってな、メイドに言ったら屋敷の中で自由にしてもいいと言われて散歩していたんだ。」
質問はまだしていないはずなのに…
ぽかんとしていると、
「君は顔に出やすい。何を考えているのか手に取るようにわかるさ。おっと、レディは失礼だったかな。」
はははっとユードリックは失礼だとは思ってもいない口振りで言ってのけた。
この男、ゲームでは爽やかだと言われていたがそんなことなくないか?と思いながらもそれを悟られるのは少しムカつくので、
「いえいえ、全然気にしていませんわ。顔に出やすいなんて初めて言われたので、気をつけます。」
にっこりという効果音が着きそうなくらい口角を上げまるでなんとも思っていませんよ。という感じをだした。
しかし、そうだな気をつけた方がいいかもな。と微笑まれ頭をひとなでしてユードリックは去っていったので苛立ちと同時に何もかもバレてる事に赤らめた顔を仰ぎながら
「次はきっと悟られないようにしてみせますから!」
と廊下に向かって叫ぶ。
叫ばれた本人の後ろ姿は肩が揺れている気がしたので、あれはきっと大笑いされていたことだろう。