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疑惑と回答①

私の問いかけは口に出てしまっていたようだ。

スレイはハッとした様な表情をしたあと唇を噛んだ。

そしてひとつため息をこぼし、


「場所を変えましょう。俺の全てをお話します。」


といい私の手を引き室内へと戻った。

私の部屋に着くとスレイは扉を閉め、私に向き直る。


「今から話すことを信じてくれとは言いません。でも俺はこの世界であなたが1番大事です。」


そう話し、スレイは昔話を始めた。


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俺は貧しい産まれでした。

だからといってどうしたという訳でもなく、その村全体が貧しく俺みたいな子供は珍しくない。


貧しいって身体的にも精神的にも貧しいんです。

子供はまず基本的な教育を受けていない、そんなの産んだ大人だってそうです。


そうすると倫理観なんてものその村なんかにないんだ。子供は大切に育てられないし、盗みなんて当たり前気が狂って人を殺しちまうやつだってでてくる。

そこで俺は育ちました。


スレイは時折タメ口と敬語がごちゃごちゃになりながら、手を強く握りしめて話す。

そして続けてこう話した


俺は生きるために盗みをしていました。

こんな村から抜け出してぜってえ生きてやるって思いながら。

そんな時ふと思いついたんです。


裕福な家庭をねらえば一攫千金が出来るんじゃないかと。

幼い俺は馬鹿だからその思い付きが、凄く世界が明るくなったかのように感じました。


ある晩、俺は走って大きな家に盗みを働きに行きました。

小さな体は屋敷のセキュリティを軽々突破でき、最終的には不用心な鍵のかかってない窓から入ったんです。


扉を開けて窓枠に足をかけあたりを見渡すと、子供部屋だということが分かりました。

ピンクの部屋でフリルがたくさん着いたベッドにちいさな女の子が寝てたんです。


まさか小さな女の子が寝ているなんて思わなくて思わず足を踏み外しました。

ケツから落ちて痛みに顔を歪めていると、さっきまで寝ていた女の子がまあるい瞳を更に大きくして


「あなたはだぁれ?」


と舌っ足らずに話しかけてきました。

侵入したのにすごく不用心でそれに俺は少しムカつきを覚えて、


「盗みを働きに来たんだ。見られたならお前を殺すしかないな。」


と脅したんです。

でもその子はそんなのお構い無しにベットから降りてきて俺の方に歩み寄って、頬をぺたぺた触りながら


「綺麗なおめめ!」


とにっこりと笑いながらそう言いました。


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