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終わりの始まり①

「そんなに大声上げてどうしたのよ」


今度はエレナが顔を覗かせた。


エレナは主人公(アスター)が護衛をする令嬢でフレイシアの姉。

破天荒な性格で度々主人公を困らせては楽しんでいた。しかし、ケラケラと小さく笑う姿はまるで水辺に浮かんだ月のように美しく儚いと言われるほど容姿端麗で執事やメイド達からは【喋らなければ完璧なのに】と呆れられている。私たち姉妹は作中ですごく仲良しに描かれていて、妹の死を嘆く姉の描写は特に細かくされていた。そんな姉とは裏腹にフレイシアなんて姉の悲しみを引き立たせるモブキャラにすぎない。フレイシアの死の原因は追求されなかったし、正確な日付も載っていなかった。詰んでいる。完全に詰んだ。

私が頭を抱えていると、


「おーい」


エレナが私の顔の前でブンブンと手を振る。


「お姉様…」


「本当にどうしたの?具合でもわるいの?」


さっきから私は色んな登場人物に困った顔をさせているのだが、私の今の境遇は説明できないので、


「大丈夫です!少し頭をぶつけたみたいで、私の頭が大丈夫か確認ついでに今の王様は二世ですよね?」


と、早口で捲し立てた。

物語の始まりは国の政権が交代したあたりだった。つまり今の王を知れれば時の流れが少し把握出来る。


「頭をぶつけたのは大丈夫に入るの…?ちなみに今の王はアレクサンドレイ二世よ。」


「もうすぐで交代なさるんですよね?」


「もうすぐと言っていいのか分からないけれど、2年後には息子が跡を継いでいるはずよ。」


つまり私はいま18歳。

見積もってた年より1年猶予がなくなった。2年で私は自分の死亡フラグを折らなくてはならない。


「そうですよね!本当に大丈夫ですから心配しないでくださいお姉様。」


「あら、そこまで言うならわかったわ。何かあったらすぐ呼ぶのよ。」


「はーい。」

私が今からしなくては行けない事は、この物語とキャラクターを少しでも思い出すこと。些細なことでも何かのきっかけになるかもしれない。


「がんばるぞー!」


「エレナお嬢様が慌てて部屋を飛び出して何事かと思ったら、1人で何をブツブツ喋っているのです?」


「え゛」


白銀の髪に翡翠の目、これは確実にこの屋敷に務める執事のスレイだ。


一応ゲーム内では攻略キャラとして存在しており、圧倒的に支持されてるキャラだ。しかし私はスレイと言うキャラクーがどうにも苦手で唯一攻略できなかった。何が苦手なのかと言うと、スレイはどの女キャラでもカップリングがあるということ。主人公と結ばれなければ姉のエレナと結ばれ、エレナが病死してしまうルートでは別の令嬢との恋愛が匂わされていた。

しかしスレイ好きは多く、その綺麗な見た目とは裏腹に腹黒い一面や少しなにか含みを持った発言に多くのファンがついた。しかし、一途な男が好きな私は全くと言っていいほど刺さらなかった。そんな苦手な男が今目の前にいる。


「なんて声を出しているんですか。」


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