彼について③
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まず、俺のことはキャルって呼んでくれ。俺はフレイシアのことレイって呼ぶからさ。
それと、俺らの親は仲が良くて小さい頃からずっと一緒に遊んでたんだぜ。だから、スレイともセシルとも顔見知りってわけ。
スレイなんて今では俺に敬語だけど、昔はクソガキって言ってくるほどだったんだからな。
今のスレイはすげえ見慣れなくて面白い。
セシルはまだ俺の事坊ちゃんって呼んでくるのやめて欲しいよな。ケツの青いガキだと思ってるんだぜ?
勘弁だよ。
あ、今笑ったな?初めて、レイがいつもの笑顔してくれた。
いつもの?
ああ。レイはいつも俺がおかしなこと言うとそうやって口を手で隠して目を細めてくすくすと笑ってくれるんだ。
俺その顔が1番好きだよ。
あ、今照れてるだろ。隠したって長年一緒にいるんだから分かるぞ。
ん?レイの父さんが俺らのこと心配してたって?
あー。それはまた今度な。
それを話すには少し時間が足りないや。
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なんて言って、キャルは私との関係を面白おかしく話してくれた。
少し疑問に残ることはあったが、冷めた紅茶は飲みきってしまったし、彼を呼ぶ声が遠くからしたので今日はお開きとなった。
「またなレイ。分からないことがあったら、すぐに聞いてな。隠し事されるのが1番つれーよ。」
と私をエスコートしながらキャルは話す。
「ごめんねキャル。何も聞かないでいてくれてありがとう。」
と目を伏せ、それから彼を見上げる。
夕日がキャルの顔にかかり、それはどこかで___。
「おい!!!!」
慌てたキャルの声と、遠くから走ってくる誰かの足音を背に私は深い眠りに落ちた。