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16:翌日

ふと眩しい光で目が覚める。

蛍光灯の光に照らされながらベッドで目が覚める。そんな当たり前の事がどこか特別なように感じた。


ふと背中に温もりを感じて後ろを見る。ウルフが寝ている。いつも無表情な彼の寝顔が少しあどけなく見えた。


そんな彼の寝顔を見ていると昨日の事を思い出した。

あの後わたしは彼に連れられ再び町に降りてきた。

森の中は人が少なく、逆に危ないから身を隠すために人の多い場所へ行こうと言うウルフの提案に頭が真っ白だったわたしはただ言われるがままついてきた。

前回と同じ宿を取り、同じように眠ったはずだった。ウルフは夜また部屋を出て行った。その時少し寂しさや不安を感じたのを覚えている。

それなのに朝わたしの隣でウルフはぐっすりと眠っていた。

いつ部屋に来たのか、疲れていた私は覚えていなかった。聞こうと思ったけど熟睡しているウルフを起こす気にはなれず静かにベッドから出た。


これからどうしたらいいんだろう。

母の安否を確認したいけど、その術がわからない。

そもそもどうして母は姿を消したのか。おばあちゃんの家に行っている間に何があったのか。

それさえ分かれば何が手掛かりが見つかるかもしれない。

そんな事を考えてるとふとお腹がなった。

そういえば色々あってロクに食事もとっていなかった。普段あまり食べない方とはいえさすがにお腹がすいた。


「案外元気そうだな」

突然かけられた声に驚き声のする方を見た。

ウルフが眠そうな顔で身体を起こしこちらを見ていた。


「寝てなくていいの?」

「ん、まあ普段からあんま寝ねえから大丈夫」

珍しくふにゃふにゃな声でそう言う。ちょっとだけ可愛いと思ってしまったのは絶対に内緒にしようと思う。またからかわれるに違いないから。


「なんか食い行くか?」

時計を見ながらそう言ったウルフの視線を辿るように私も時計を見た。お昼前の時間。朝というには少し遅い中途半端な時間だった。


「どこか食べれる場所があるの?」

「まあ飯屋空いてんだろ。」

「ご飯屋さんがあるの?」

「・・・町にはそういうのもあるんだよ。世間知らず」


少しバカにしたような言い方にむっとする。世間知らずで悪かったですね。と小さな声で反論する。


そんなわたしを無視するようにウルフはベッドから出て扉の前に行く。早くしろと言わんばかりの行動にあわててわたしはウルフの後を追いかけた。


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