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第36話 自由か命か

「進吾ー、ご飯食べれる?」

「んー……おなかすいてなーい」

「最近全然食べないねー」


ハロウィンの日から数日が経ち、進吾の体調は目に見て分かるほど悪くなってきた。まず、食欲不振だ。元々少食な上、食欲がなくなってきてしまった。


「だっておなかすかないんだもーん」

「じゃあ進吾、また外走りに行くか?」

「えーうごきたくない」


また、外出することも少なくなった。恐らく体力や体調が原因なのだろう。現に体力もすっかり落ちてしまい、前のような遠出は難しくなっている。そしてたまに起こるのが、10月31日にもあった呼吸困難だ。私や旦那が常に寄り添っていなければ安心できないようになっていた。


「はぁ……これ以上悪化して欲しくないな……」


そんな状況の中、旦那が口を開いた。


「医者に相談してみようか」


医者に診てもらい、少しでも症状を楽にさせようと決心をし、私に伝えてきた。


「また治療受けることになるのかな……」

「そうなるだろうな。進吾が受けたいかどうかにもよるが」


もし治療を受けるとしたら進吾にとって今年で3度目の入院になる。治療を受けて少しでも長く一緒に居られるならば本望だ。ただ入院した時に問題となってくるのは、最後に残された進吾の"やりたいこと"だ。"水族館に行く"という願いを実現することが難しくなってしまう。そしてなによりも、再度入院することになってしまう進吾の気持ちも重要になってくる。


「進吾がどう思ってるのか……」

「今日の夜にでも聞いてみてから考えた方がいいかもな」


私たちは進吾の気持ちを尊重するためにも、話し合ってみることにした。



まだ17時というのが信じられないほど、空は真っ暗になった。


「進吾、最近体調大丈夫?」

「なんかだめ」

「……病院で診てもらう?」

「そしたらまたにゅういんするの?」


答えることにとても躊躇した。好きな場所に遊びに行けず、友達とも話せず、リラックスできる場所でもない。進吾にとって病院での入院生活は不自由で辛い日々だったはずだ。それが今年で2回もあったのだ。病院での生活は暇で自由に動けず、孤独さを感じさせるものだ。


「そしたらすいぞくかんはいけるの?」

「お医者さんに聞いてみないと分からないかも……」

「体調が良かったら外出許可が降りるかもしれないぞ」


進吾は難しい表情をした。そして数分間沈黙の時間が流れた。時計の秒針が動く音だけが聞こえる。進吾が少し震えた声で小さく発した。


「いってみる」

「でも水族館は大丈夫なの?」

「たいちょうよくしてからいく」


不安で胸がいっぱいだが、進吾のためにも、医者と話をしてみることに決めた。

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