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学院の日常

「…………い。………ーい。……おーい。シルフ?」

「…………何」


 季節は春。貴重な昼休みの心地よい眠りを邪魔されて、シルフは少し不機嫌だったが、相手の顔を見て首を傾げた。


「珍しいね、フィルアがこっちの棟に来るのは。遠いでしょう」


 と言いながら伸びをする。


「なぁ、魔法薬学の教科書持ってないか!?」

「魔法薬学?」


 いいけど、と言いつつロッカーに向かう。


「本当に助かる。ありがとうな、あとで食堂でなんか奢るよ!」

「いいよそこまでしなくて。…………あ」

「どうかしたか?」


 ロッカーの手前でシルフは足を止め、フィルアに向き直った。


「基礎しか持っていないよ?僕。確か官吏科って魔術科とはカリキュラムが違うよね?」


 フィルアは目を見開いた。


「完全に忘れてた………………。どうしよう他誰かいたか…?」


 あーとかうーとか言う友人をジト目で見やる。


「スイには聞いた?魔導科だし調合やるから、応用の教科書も持っていたりするんじゃない?」

「盲点だった」

「ふっ……盲点って」

「笑わなくてもいいだろ?!」

「まぁまぁ、早く行こう。昼休みが終わってしまう」


 ブツブツ文句を言うフィルアの背を押し、魔導科のいる実験棟へ向かう。


「魔法薬学?応用だよね、あるよ」

「本当か!?助かる!」


ありがたやー、とスイを拝むフィルアは傍目から見て確実におかしなやつである。


「ところで、今日の放課後の会議参加する?」

「会議?生徒会の?え、嘘、私知らないよ」

「…スイ、また見ていないの?寮の掲示板に貼ってあったよ」


あぁー!と、手を叩く。


「見てないよそんなの。朝は時間ないし帰る時は疲れてるしねー。よく見てるねーシルフは」


シルフは苦笑する。


「ちゃんと見るようにね。ってこれを言うのも何回目だって感じがするけれど」

「少なくとも生徒会に関しては毎度教えてくれる優しい方がいらっしゃるからなー」


横目でシルフを見て、ニヤリと笑う。


「まぁ頼りにしてるってことよ。シルフ様?」

「様はつけないでよろしい。それで、結局参加するの?」

「するよ。どこでやるんだい?」

「生徒会室。荷物は持っていく?」

「持ってくかなぁ」

「わかった」

 

 横から視線を感じる。拝むのをやめたフィルアが、こちらをじっと見ていた。


「何、僕たちの顔に何かついている?」

「いや、お前たちって本当に生徒会役員様なんだなぁーって」


ふっ、とシルフとスイは同時に吹き出した。


「なんだよ笑わなくてもいいだろ?!」


ゴーン…ゴーン…ゴーン…


「あ、予鈴だね」

「じゃあまたな、寮で返すわ」

「わかった。部屋で待ってる」


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