第一話 4月10日
これからの小説は文才のない、いち中学生の作品です。
文法が間違っていたり、誤字脱字衍字があったりするかもしれませんが、どうか温かい目で見守りください。
家が燃えた。
始業式が終わると、顔見知りでもない担任に声をかけられ、家が火事になったことが告げられた。担任に一言断り、家へ一直線に帰った。一刻も早く帰りたいのに、いつもの1時間がとても長く感じられた。
家は黒く焦げていた。家族みんなで撮った写真も、兄さんからもらったハンカチも全て、燃えて炭になっていた。家族の安否を必死に周りの人に聞いて回った。今日は木曜日。母さんと兄さんはこの家にいたはずだ。もしかしたら父さんが早く帰ってきていたかもしれない。結果は…言うまでもないだろう。僕は泣き叫んだ。一日にして家族全員を失った。
そこまでで記憶は途切れた。
目が覚めた時、僕は幼馴染の部屋にいた。
「薫!起きたんだね」
幼馴染は元気よく言った。
「心配したよ。このまま薫も逝ってしまうのかと。」
むしろそうだったら良かったのに。
「良かった…。」
何がいいのだろう。恐らく同情して、本気で僕を心配してくれた幼馴染に苛立ちが積もっていくのを感じた。
「あ、お母さん呼んでくるね」
そう言って間もなく幼馴染のお母さんがドアから出てきた。
「おばさん、すみません」
と僕が言い終わる前におばさんは抱きついてきた。
「頑張ったね。よく頑張ったね。」
言われたい言葉はこれではなかったのだが、悪い気はしなかったので、その言葉をありがたく受け取った。
少し経って、僕は本題に取り掛かった。
「すみません、おばさん。少しの間お世話になってもいいですか?」
おばさんは明るい口調でこう答えた。
「もちろん!何ならうちの子にならないかい?」
「それはできません、申し訳ないですし。だから葬式と片付けが済むまでの間だけ。」
「え…嫌だよ!薫!」
今にも泣きそうな幼馴染を手で制しておばさんが答える。
「…そうだね。稼ぐあてはあるのかい?」
僕は少し考えてから答えた。
「薬草採取でもするよ。薬の知識はある。」
「そうかい…」
「厳しいということはわかっているかい?」
「うん。」
「すぐに泣き戻っても知らないよ。」
「うん。わかってる。」
しばらく沈黙の時間が流れた。おばさんは寂しそうに笑い
「行っておいで」
といった。
あの火事から半年が経った。葬儀も工事もすべて済んだ。今日は僕の旅立ちの日だ。更地になったわが家の跡地を見つめていると、
「寂しくなった?」
と幼馴染が声をかけてきた。僕は微笑みかけて言った。
「少し。生まれたところから離れるんだから当然か。」
「俺、薫の手紙と活躍してるって知らせ、待ってるから!」
僕は少しびっくりしたが、次の瞬間には笑っていた。
そして僕は旅に出た。背中に受けたおばさんの「いつでも帰っておいで」という声は、僕の胸を温かくした。
旅立って少しした頃、頭の中からある男の声がした。
『泣いてる?泣いてる?薫。』
「泣いてない。翔うるさい。」
『泣いても妾が慰めてやろう。』
「御前まで…」
そう。僕には心強い仲間がいる。
十四年前、災害で死んだ齢15の少年、翔と、1000年以上前に生き、巴御前の母親でもある千鶴御前。二人は僕の異能によって契約を結んだ霊だ。二人の家族が僕の中にいる。とても心強い限りだ。
目の前には広大な草原と一本の道が続いている。僕は深呼吸をし、こう意気込んだ。
さぁ、時代錯誤な僕たちの旅を始めよう!