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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード5

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EP5-5 - 記憶にない夢

EP5-5 - 記憶にない記憶

――――――


「……ん」

「あ、起きた」


 フィニティが目を開けると、彼女の視界には自分を覗き込むエリーの顔が入って来た。木陰の中にいるせいで彼女の顔色は暗く見えたものの、その表情は嬉しそうな、穏やかなものに見えた。


「大丈夫? なんだかうなされてたみたいだけど」

「うなされてた……」

「うん。でも思ったよりも平気そうで良かったよ。いきなり倒れた時はびっくりしたからね」

「倒れた……」

「……もしかしてまだ大丈夫じゃない感じ?」


 頭が重くて今までの記憶がはっきりしない。なぜ自分が今ベンチにいるのだろう。なぜ自分は今エリーの膝を枕にして横になっているのだろう。木陰のベンチで涼しげな空気が漂う中、とりあえず体を起こそうとするも、自分の体には何故だかまったく力が入らない。

 仕方がないのでフィニティはそのままエリーの膝を借りて体を休めていると、エリーの方から声をかけてきた。


「いきなり倒れた時はびっくりしたよ。寮を出る時はあんなに元気だったのに」

「すみません……」

「いや別に謝って欲しいわけじゃなくてね。びっくりしたってだけで」


 心配をかけないようにするためだろう。エリーは笑顔を作りながらフィニティに語りかけた。初めて会った時と同じ引き攣ったような笑顔。それがなんだか懐かしくもあり、安心感を覚えるフィニティであった。


「笑った?」

「笑いました。エリーさんが近くにいてくれて良かった」

「……なんか照れるな」


 エリーはフィニティから視線を逸らし、ぽりぽりと頬を掻いていた。表情の自然さを見る限りどうやら本心からの反応のようだ。


「と、ところで体調は大丈夫? 目が覚めるまでずっとうなされてたけど」


 そういえばそんなことをさっきも言っていた気がする。確かに、額に手を当ててみるとしっとりと汗ばんでいるような気がした。無意識のうちに苦しんでいたのだろう。……それに、少しずつ記憶の前後が繋がってきた今なら、その理由もわかる気がする。


「夢を見ました」

「夢?」

「男の人と、多分、じっちゃんです」

「じっちゃんって、フィニティのお爺さん?」

「はい。夢なので多分ですけど」


 フィニティの家族、エリーはセンから聞いたことがあった。彼女に父母はいなく、祖父と祖母は二年ほど前に家を出ていると。そんな彼女の家族が夢に出てきたということは、もしかすると何か重要な意味があるのではないか。全く根拠のない感想ではあるが、そんなこともあるのではないかと、エリーはフィニティの頭を膝に乗せながら考えていた。

色々と疲れる経験をしました。

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