EP5-3 - 古との繋がり
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「おう。来たな」
予定が決まったその週末の正午。フィニティ、エリー、リーバの三人は古学博物館へと訪れていた。寮から徒歩で向かった三人が博物館にたどり着いた頃には既にハジメとセンが到着しており、彼らは入口の前に立ち待機していた。
「おや、早いのー。待たせたかえ?」
今回の集合予定は午後一時からだ。もしかしたら自分たちの方が集合時間に遅れたかと思い、リーバは近くにあった時計へ視線を向けてみたものの、時刻はまだ予定の時間になっていない。彼女の視線の方向から察したのだろう。先に集まっていた二人は後からやってきた三人にこう言った。
「僕は念のため集合時間より早めに来ていただけだ。だからそんなに待っていないよ」
「俺は午前のバイトを終えてついさっき来たところだ。チャーティー先生と同じく、待っていないぞ」
今日は気温が涼しげなこともあるだろうが、彼らに疲労の色は見られない。彼らがそこまで待っていないと言っているのは本当のことなのだろう。
ともかく全員が集まったのであれば入口の前で待つ必要はない。目的の展覧会を観るため、博物館の中へ入ろうとエリーが一歩前に出る。
「じゃあ中に入ろっか」
「それはいいけど、フィニティは大丈夫なのかい?」
「え?」
どこか心配そうな表情を浮かべてセンはそう言った。しかし彼の言葉の意図がわからなかったエリーはその意図を確かめるためにフィニティへ視線を向けると、彼女の顔はとても青くなっており、吐き気を催しているのか猫背気味になって手元に口を当てていた。
「お、おやフィニティ。どうしたのかえ。先ほどまで至って普通だったかと思うのじゃが」
いつもはふざけた様子を見せるリーバがあからさまに困惑している様子を見せている。それに、いつもフィニティの様子を気にしているエリーがまったく気づかなかったことを考慮すると、フィニティの体調が悪くなったのは本当にここ数秒の話のようだ。
「ちょっとフィニティ、大丈夫?」
「……何か、ある」
「え?」
フィニティは小さな声でボソボソと何かを呟いていた。それを聞きとるため皆がフィニティの近くに顔を寄せるものの、彼らがその声を聞き取ることはできなかった。
次の声を発する前に、フィニティが倒れたからだ。
なんかまた忙しくなりそうなので、週二投稿が限界になりそうかもしれないです。




