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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード5

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EP5-2 - 縁ができたな

「そのとーり! どうじゃ。皆でこれを観に行かんか?」

「私は別にいいけど……」


 チラシに書かれている内容を見ると、どうやら今週末に行われる展覧会のようだ。博物館の中の一部のスペースを使って行われるようで、入場料さえ払えば観覧することができるらしい。

 エリーはフィニティに視線を移す。二週間ほど学校で勉強を続けていた彼女は、少しずつではあるが文字が読めるようになっていた。彼女は食い入るようにチラシの内容を見ており、その瞳には強い好奇心が宿っているように見えた。


「あたしも行って見たいです!」

「うむ。決まりじゃな! それでは今週末はハジメとチャーティーを引き連れて古学博物館へ出発じゃあ!」

「……やっぱり」


 はぁと憂鬱そうに溜息を吐くエリー。その理由はリーバが上げた人物の名前の中にあった。

 ハジメ・クゾカイダ。彼は特別枠クラスの生徒として優遇されており、学費や食堂などの費用が免除されているにも関わらず、放課後は実家に仕送りを送るためにアルバイトを行っている。彼の家は特別貧しいというわけではないが、四人の兄弟がいるためにお金が必要だということだった。

 そんな彼だが、前回の実技魔法研究会との事件以降、この古代魔法研究会に所属することとなった。彼曰く。


『困っている人間と縁ができちまったからなぁ』


 とのことだ。アルバイトを行っている都合上、全ての活動に参加できるわけではないが、部員として名前を貸すくらいなら問題ないと言っていた。

 そしてセン・チャーティー。彼も彼で生徒思いであり、困っている人間がいたら助けに行きたがるお人好しだ。そんな彼が、フィニティが所属することになった古代魔法研究会の実態を知って無視することなどできるわけもなく。


『じゃあ僕が顧問をやるよ。古代魔法研究会がこのまま無くなるなんて寂しすぎる。それに、僕が顧問になればフィニティを見ることができる時間が増えるしね』


 と言ってこのクラブの顧問を担当することになった。

 かくして古代魔法研究会はフィニティとハジメ、二人の部員とセンという顧問を手に入れた。これであと二人の部員がいれば来年度からも活動を続けることができるとのことで、リーバは満足そうにしていた。


「ところでエリーや。お主は何故ここにいるのかえ?」


 そうして直近二週間の出来事を振り返るエリーに、リーバが意地の悪そうな顔を浮かべながら近寄って来る。何故ここにいるのか、それはこのクラブの部員を見ればわかることだった。


「お主は我が古代魔法研究会の一員じゃないじゃろー? せっかくワシ自ら勧誘したのに断ったのはお主じゃものなー」

「……それは話したでしょ。私は理事長の娘だから、特定のクラブに入ったら周りから色々言われるの」


 実際に力を使えるかどうかはともかく、エリーは立場上権力が使えると周りに思われている。そんな彼女がクラブに所属した場合、そのクラブが正当な方法で活躍したとしても、周りからは色眼鏡をかけて見られる可能性がある。だから彼女はこれまでクラブ活動を行っていなかった。


「それは聞いておるぞよ。じゃが、部員でないのであればこの部屋に訪れる理由はないじゃろ?」

「まぁそうだけど。そうなんだけど」

「そんなお主が何故ここにおるのかのー。誰のためなのかのー」


 リーバは人差し指をピンと立て、その指を使ってエリーの頬をぷにぷにと押していた。最初はされるがままだったエリーも、やがて赤面しながらその指を振り払い、勢いよく立ち上がる。


「うるさいうるさいっ。なんでもいいでしょっ」

「おーこわっ。フィニティや、お主の保護者が癇癪を起こしておるぞ」

「カンシャクってなんですか?」

「そこじゃない! 私は保護者じゃない!」


 思いきり否定するエリーであったが、実際のところフィニティが心配で研究会の部室に来ている彼女は、どう見てもフィニティの保護者であった。

やっていたソシャゲが終了しました……。サ終を見届けたのは初めてでした。

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