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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード4

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EP4-38 - 一度事件の幕が下りる

「その通りじゃ。目的はともかく、真犯人は嬢をターゲットに動いていることは間違いないじゃろう」

「だが、ボクたち実技魔法研究会はそいつに全く関係がないんだぞ。仮に何かを仕掛けたとしても、その小さいのが関わりに来るとは限らないだろ」

「考えられる可能性としては二つじゃろうな。事件が起きたらフィニティの方から関わりに来ると踏んだか、はたまた未だ見つかっていないだけで学校中に似たような仕掛けが他にも施されているか」

「恐ろしいことを言うんだな……」

「ま、可能性の話じゃがの」


 リーバが言った通り、確かに学校中に犯人が何か罠を仕掛けている可能性は考えられるだろう。しかし、今回の事件はこの実験室で魔法を発動したことが原因だ。そして魔法を唱えることになった経緯には黒いコートの人物が関わっている。それを考慮すると、黒コートの人物が自ら関わらないところに罠を仕掛けている可能性は低いと考えられるはずだ。

 ただし、フィニティには関係のない人物が巻き込まれたことは事実だ。次に例の黒コートの人物が現れた場合、今回のようにフィニティとは全く関係の生徒に被害が加わる可能性は十分に考えられるだろう。そうなると事件を未然に防ぐことは難しい。困った表情を浮かべながらセンは頭を掻いた。


「そうなると、どうしたものかな。良い対策が思いつかない」

「普通に不審者には気を付けるよう改めて伝えればいいんじゃないの?」

「……」

「あ、ごめんエリー」


 不審者には気を付ける。非常に当たり前のことではあるが、過去に被害を受けたエリーは当時、心の隙を突かれて話をしてしまった。しかも、学校の許可を取らずに売られている商品まで買ってしまった。ここにいるワイルとショージュも、怪しげな人物であるにも関わらず話を聞いてしまい、その情報を信じて行動してしまった。このような過去に起きたことを考慮すると、黒いコートの人物はその怪しげな風貌にもかかわらず、それを不審に思われないような振る舞いで生徒へ接触するに違いない。そうなるとただの注意喚起ではコートの人物からの接触を防ぐことは難しいだろう。

 センたちは様々な策を考えるものの、すべての可能性を考慮した対策は難しい。結局、校外の人間を名乗る黒いコートの人物が、学校の生徒に被害をもたらしたことを全生徒に連絡し、怪しい人物とは関わらないよう通達することとした。焼け石に水ではあるものの、少しくらいは対策になるはずだ。


「さて、この件に関しては僕の方から教師のみんなに伝えておくよ」

「ありがとうございます。……ところで、防災装置の修理はどうなるんですか?」


 元々センはこの実験室にある防災装置の点検が目的でやってきていた。点検した結果原因がわかったものの、修理はいつ行うのだろう。生徒を代表して、エリーは質問をした。


「うーん。魔法石の内容を書き換えるとなると、専門的な知識が必要だからな。業者を呼んで修理をするから、早くても二、三日はかかるんじゃないか」

「じゃあその間は魔法の実習はできないということか。大事な時期だが……」

「しょうがないよワイルくん。早く直ることを祈って、待っている間は座学にしよう」

「……座学」


 ふと、エリーは思い出した。この実験室が使えないと魔法の実習授業も行えなくなる。そうなると授業の内容は変更され、一日中座学を行うことになるのだ。このことによって被害を受けるのは、大会が近いワイルとショージュだけではない。


「あー。じゃあフィニティはもう少し干からびる日々が続くわけだ」

「……こればかりは私たちにはどうしようもない、か」


 可哀そうに。そう心の中で呟き、エリーは再び欠伸をするフィニティに憐れみの視線を向けた。

長々と引き延ばしてしまいました。

次回でエピソード4終了すると思います。

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