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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード4

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EP4-35 - わざと残されたその言葉

「さて、厄介なことになったのう」


 リーバは再度大きなため息を吐くと、視線をエリーの背中で眠るフィニティへと向けた。直接言葉には出していないものの、今回の件の犯人候補にフィニティが挙がったと言いたいのだろう。理由は至極単純で、現在マージ・モンドで古代魔法を使うことができるのはフィニティだけだからだ。そのことは事実であるがゆえに、エリーは辻褄が合っていると認めざるを得なかった。

 しかし、フィニティが犯人だというのであれば、彼女は魔法機器に対しての知識も持っていなければならないだろう。これまでずっと山で暮らしていて数日前に初めて魔法機器を見た彼女が、誰にも気づかれずに装置を分解して細工を施し、再設置するなどの一連の流れが行えたとは到底思えない。

 別にリーバは本気でフィニティが犯人だと思い込んでいるわけではない。ただ可能性が高まったことを無視はできない、そう言いたいのだろう。エリーやシャータも同じ心境だった。


「おい起きろ。転入生」

「……ふぁ」


 そんな中、ハジメは眠っていたフィニティの肩を叩き、目を覚まさせる。彼女は目を擦りながらまだ眠たそうに大きな欠伸をすると、ゆっくりとエリーの背中から下りていった。


「なんですか……?」

「ちょっとこの石に書かれている字を読んでくれないか?」

「いしぃ……?」


 いつの間にリーバから受け取ったのか、ハジメは古代魔法が書かれているという魔法石と虫眼鏡をフィニティへと手渡した。半分しか目を開けていないフィニティは虫眼鏡を覗き込むと、刻み込まれていた古代文字をゆっくりと読み上げていく。


「えと……。『幻影』……。移ろいし時の影を生み出さん……」


 すると魔法石が輝き出し、魔法陣が生成される。どうやらフィニティの言葉、古代魔法の詠唱文に反応して魔法が発動したようだ。

 光り輝く魔法陣からは勢いよく水が噴射された。急に噴出された水飛沫に驚いたフィニティは魔法石を落としてしまうが、魔法陣からは変わらず元気よく水が飛び出していた。よく見るとその水には色がついている。


「びっくりしたな、一体何?」

「おいおい、ありゃあ……」


 その水は床に落ちることなく、積み重なり人の形を作っていく。そうして出来上がったのは、散々話の中で挙がったあの人物。

 黒いコートの人物であった。

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