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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード4

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EP4-34 - 新たに書かれた古き文字

 結局、ワイルとショージュを含めた七名の生徒を引き連れて、センは装置の下へと移動した。装置には様々なパーツが組み込まれており、条件次第で自動的に魔法が唱えられるように設計されている。とりあえずざっと確認する限り、パーツの腐敗や配置ミスなどは見られなかった。


「となると、魔法プログラムのほうに問題があるのかな」

「へー。センちゃん見ただけでわかるんだ」

「これでもこの学校の教師だからね。魔法機器についてはある程度の知識は持っているさ」


 そう言うとセンは内部パーツを外し、各種部品を解体していく。やがて水色に光る小さな石が取り出された。


「お、水の魔法石だな」


 魔法石とは、自然界に存在する魔法力を宿した石だ。人間の持つ内臓から生み出される魔法力とは異なり、一定の魔法力を使い切ると効力を失ってしまう消耗品ではあるが、魔法の詠唱文を刻むことで自動的に魔法を使うことができるため、このように日常生活の中で使われる機器によく使用されているのだ。

 センはその魔法石を手に取り、虫眼鏡を使ってその細々とした文字を読んでいった。しかし彼は首を傾げ、唸り声を上げながらずっとその魔法石を睨みつけていた。


「どうかしたんですか?」

「この詠唱文、なんかおかしいんだ」

「おかしいって?」

「変な文字で書かれているんだ。どっかで見たような――」

「どれ、ワシにも見せてくれんか」

「あ、ちょっと」


 横から入って来たリーバは、センが持つ虫眼鏡を覗き込み何が書かれているかを確認しようとした。


「……」


 すると彼女は表情を真剣な物へと切り替えて、センに虫眼鏡と魔法石を渡すように進言しそれを彼が了承すると、彼から奪うような勢いでその二つを手に取ってまじまじと魔法石に書かれた文字を見つめていた。


「なに、どうかした?」

「……これは中々、面白いことになったかもしれんぞ。理事長の娘よ」


 リーバはふぅと大きなため息を吐くと、彼女はこれまで見せていたふざけた様子など一切見せずに話を続けようとする。その口元には困惑のような、それでいて喜んでいるような笑みが浮かんでいた。


「この魔法石に書かれている詠唱文、恐らく古代魔法じゃ」

「えっ?」

「解読まではできないが、使われている文字や詠唱と思われる文章、見覚えがある。研究会で保有している古文書や国から公表されている古代魔法の研究で使われているものにそっくりじゃ」

「ちょ、え、待って。なんでそんなことになっているの。魔法機器に使われているのはアタシたちが普段使っている詠唱文なんじゃないの」

「じゃな。よく見ると文章を書き換えたような跡がある。つまり何者かが後から細工したのは間違いないようじゃの」


 リーバの言葉によって、何者かが装置に干渉した可能性は高くなった。しかし、改めて一つ重大な懸念が生まれてしまう。

 古代魔法が使える人物。それは今のところ、エリーの背中で眠っているフィニティしかいないということだ。

本当はここら辺がエピソード4で書きたかった話なのですが、時間がかかってしまいました。

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