EP4-33 - 介入してくる新たな点
「センちゃんじゃん。どうしたの」
「……あのなシャータ。いい加減僕のことは、ちゃんとチャーティー先生と呼んでくれないか」
「悪いが先生、今は先に要件を聞きたいんだ。頼めるか」
「……わかった」
自分の扱いに対して少々腑に落ちない様子のセンではあるが、彼はハジメの提案をのみ、ここへ来た理由を話し始めた。
「簡単に言うとこの実験室はしばらく閉鎖することになったんだ。防災装置の点検もあるからな」
「点検、ですか」
「この前爆発魔法が発生したけど装置が動かなかった時があっただろう? 二度と同じことが起きないようにチェックすることになったんだ」
やはりそうなったか。自然に考えればそのような対応になるのは想像がつく。今のセンの言い方でわかったことがあるとすれば、管理側の問題ではなく装置の方に問題があったということくらいだろうか。
「その点検はいつやるの?」
「今日この後だ。実験室は早めに使えるようにしないと、授業に支障が出るからね」
「あ、ならそれに同行してもいいですか?」
「え」
エリーの提案に対してセンは驚きの表情を見せた。彼女は事件や事故など、厄介なことにはなるべく関わらないように振舞っているよう、センの目には見えていたからだ。そんな彼女が自分から同行を申し出るだなんて。
「別にいいが、どうして」
「もしかしたら外部からの犯行である可能性もあるんです。その犯人のせいでうちの学校の評判が下げられたら堪ったもんじゃありません」
「それに、ワシの魔女としてのプライドが傷つけられたからの!」
「エリーが言うことはわかったが、君は一体?」
「よくぞ聞いてくれた! ワシこそは――」
「とにかく、この後点検するとしたらそれに同行させてください。私、お父様のためにも何かしたいんです」
本当は黒いコートの人物が関わっているかどうかの確認も兼ねているが、センを含む教師達はその人物を知らない。わざわざ名前を出す必要はないだろうと、エリーは同行だけを申し出た。
「まぁ、いいかな。大丈夫だよ」
防災装置から発せられる魔法は、人体に悪影響が出ないようなものだけが出るように調整されている。仮に装置が誤作動したとしても問題にはならないだろう、そうセンは判断した。
「フィニティは眠そうだが、来るのかい?」
「……はい」
しばらく何も言わないと思っていたら、どうやら退屈で眠りかけていたらしい。このまま帰しても良いかとエリーは考えたが、フィニティはこの中で唯一古代魔法が使える人物だということを考慮すると、何かに気が付くことがあるかもしれない。眠そうにしている彼女には申し訳ないが、もう少し付き合ってもらおうと、エリーはフィニティを背負って装置の場所まで移動することとした。
もっとフィニティを前面に出したい気持ちはあるのですが、エピソード4の間は厳しそうです。




