EP4-32 - 事件の裏側
「ほう。面白い指摘じゃな」
シャータが言った可能性に対してリーバが反応を示す。否定をしないということは、その可能性に対して心当たりがあるということなのだろうか。
「確かにあの時ワシが唱えた魔法に誤りはなかったはずじゃ。だからこそ、お主の指摘した可能性を否定できんな」
「えっと、どういうこと?」
「何故ワシの魔法が暴発したのか、ずっと疑問に思っていての。魔法の詠唱を間違えたはずはないからのー」
どうやらそこに関してはかなりの自信があるようだ。彼女の自信満々な表情がそれを物語っている。
「お主の言う通り何者かが別の魔法を被せたとあれば、魔法が発動したと勘違いして詠唱を途中で停止してしまうことも考えられるじゃろ?」
ま、爆発でそれどころじゃなかったがの。とリーバは付け加えて会話のボールを宙に浮かせた。キャッチしたのはハジメだ。
「つまり奴は魔法の暴発を偽装したということか。何のためなんだろうな」
「ふむ」
実技魔法研究会の二人をリーバに会わせたとき、黒コートの人物は古代魔法研究会が不正をしている可能性があると言っていた。それを実際に確かめられると困るため、有耶無耶にするため妨害を加えたということも考えられるのではないか、とリーバは言った。
「全体的に可能性の域は出ないがの。じゃがそうなると、一つ許せんことができてしまうのう」
「許せないこと?」
「ワシの古代魔法の邪魔をしたことじゃ! せっかくこんな口調までしているのに! 魔女感が薄れてしまうじゃろうが!」
怒るポイントはそこで良いのだろうか。どこまでが本気なのかはわからないが、彼女にとってはとても大切なことらしい。
「よーし決めたぞ理事長の娘よ。ワシは今後お主に全面的に協力しよう」
「……ん? え、あ、ありがとう?」
「その黒コートの人物とやら、絶対に捕まえてワシが裁判にかけてやるぞよ!」
「裁判……?」
熱意はよくわからないが、こんなのでもいないよりはマシかとエリーは彼女の協力の申し出を受けることにした。手を差し出されたので握り替えすと、リーバは繋いだ手をぶんぶんと振り回して、恐らく喜びの意を伝えていた。
「とはいえ、結局装置に関しては何も推測ができそうにないな」
ひと段落はついたものの、防災装置が動かなかったことについては結局進展がなかった。一旦日を置いて改めて物事を考えた方が良さそうだと判断した一同は、解散してこの実験室の部屋を出ようとした。しかしその時、予想外の男がこの部屋へ訪ねてくる。
「あれ、みんなどうしたんだ」
それはこの学校の教師、セン・チャーティーであった。
流石にもう少しで終わると思います……。




