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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード4

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EP4-31 - 事件の裏に黒コート

「ん、なんだ。何故みんな黙る?」


 ハジメは黒いコートを着た人物が真犯人なのではないかと言った。その意見自体には皆心の中で同意している。だがそう判断するには二つほど気になる点がある。動機と証拠だ。

 百歩譲って動機はいい。その点はエリーに危害を加えた時にもわからなかったことだ。だが、証拠は何も残っていない。それこそ以前彼がエリーに接触した時も彼は証拠となる物を残さなかった。一般の生徒がいるところにも現れていたはずだが、何故だかあんなに怪しい格好をしている彼を目撃した生徒は一人もいなかったのだ。話を追加で聞いたところ今回もその状況と類似しており、ワイルとショージュの二人がいる時に現れたため他の目撃者はいないということだ。

 正直なところ、今いるメンバーたちは真犯人と思われる人物の証明ができなくても構わなかった。リーバは傷を負ったものの気にしておらず今後もあの研究会で地道に活動を続けるだろうし、実技魔法研究会の二人は改めて研究会としての功績を残すために日々を過ごすだけだ。その日々は真犯人とやらがいてもいなくても変わらない。そう、ただ一人を除いて誰も気にしていなかった。


「ま。これで話は終わりかのー。これ以上はどうしようもなさそうじゃし……」

「待って。それじゃ困る」


 待ったをかけたのはエリーだ。彼女の父親は学校の理事長であり、今回の防災装置が動かなかった件をただの事故として処理されると、学校側の責任問題が問われてしまう。そうすると今後の学校経営に悪い影響が及ぼされるのは間違いないだろう。真犯人と思われる人物がいるのだから、そんな未来はできるだけ阻止したい。エリーはその意図を懇切丁寧に皆へと話し始めた。


「……あんたの事情はわかるが、ボクたちはこれ以上情報を提供できないぞ」


 ワイルはバツの悪そうな顔でそう呟いた。これまでは自分たちのことのみを考えていたが、一度話に区切りがついたことで落ち着きを取り戻し、周りの事情を汲み取れるようになったのだろう。そしてショージュも同じことをエリーに伝えた。


「あれから黒コートの人物には会えてないの。ごめんね」

「そうじゃぞエリー。諦めも人生には必要じゃぞ?」

「あんたはいいの? そいつのせいで魔法が暴発した可能性だってあるのに」


 エリーの指摘を受けるリーバであったが、彼女はその発言が的外れかとでも言いたげな顔で返事をする。


「まさか。ワシは二人と違ってそいつとは会っておらんぞ」

「あいつは謎が多いの。私に渡された魔法力を高める薬だってどこにだって売ってない。私たちが想像していること以上のことができる可能性だってあるんだよ」

「人の魔法を妨害したとでも言いたいのかえ? それこそ聞いたことはおらんが……」

「もしかして、そもそも暴発してなかったんじゃない?」


 シャータはそう言うと、他の意見が入る前に自らの考えを話し出した。


「リーバの魔法が発動する前に、そいつが爆発するような魔法を唱えたっていう可能性もあるんじゃないかな」

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