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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード4

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EP4-30 - 交わった点と埋もれた黒星

「しかし、蓋を開けてみれば互いに自己保身をしているだけだったな。最初から全て話してくれれば、本当にただの暴発と、装置の故障ですんなり終わったものの」

「こっちも後ろめたいことが色々あるのよ。そんな簡単に言えるわけないじゃない」

「威張るなよ」


 ワイルとショージュは約束を守る気がなく、かつ古代魔法研究会を潰そうとしていたこと。リーバはそもそもクラブ活動の現状を偽っていたこと。それぞれが黒い思惑を抱いていたせいで物事がややこしくなっていたが、明るみになった真実は単純な物だった。

 事件が解決へと向かう中、未だ一人思考を巡らせていたエリーはふと、真実に埋もれていった人物の名を口に出す。


「そういえば、その後黒コートの人物はどうしたんですか?」


 古代魔法研究会は実際のところ、活動内容自体は偽っていなかった。そうなると黒コートの人物はワイルとショージュに接触し、わざわざ嘘をついたことになる。もしその人物がこれまでの二人のことを知っていたとしたら、その嘘によって二人が古代魔法研究会に向かうのは容易く想像ができるだろう。

 では何故、その人物はそんな嘘をついたのだろうか。その嘘によって『ワイルとショージュはリーバへ会いに行き』『リーバは古代魔法を見せることになり』『魔法が暴発し』『防災装置が作動せず』結果的にリーバが怪我をした。この一連の事象は、本当に偶然起きたことなのだろうか。


「あの人……。そういえば話すだけ話してどこか行ったわね」

「どこに行ったかわかる?」

「ごめんなさい。その時は話を聞いて頭に血が上っていたから……」

「……」


 場をかき乱すだけかき乱し、その人物は姿を消した。これを怪しいと思うのはエリーの考えすぎだろうか。


「それって怪しくない?」


 もう一人いた。


「そもそもなんで部外者の癖に校内の事情を知っているの?」

「一応、わたしたちと会った時はジャーナリストでマージ・モンドについて調べていたらしいけど」

「ジャーナリストォ? 商人じゃなかったの?」


 シャータが言うように、以前その謎の人物がエリーに接触した際、その人物は自らを商人だと名乗っていた。勿論、今話題に挙がっている人物とエリーに接触した人物が別人である可能性はあるだろう。しかし、校外の人間かつ不審な行動をしており、黒いコートを着た人間が二人もいるだろうか。


「その人がいなければ今回の事件は起きなかったわけですよね」

「結果的には、ね」

「もしかして真犯人はそいつなんじゃないか?」


 ハジメが放ったその一言。それはこの場にいる全員が薄々思い始めたことだった。

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