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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード4

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EP4-28 - あと一歩で交わる距離

「確かに僕はその女の邪魔をしようとしたさ。でも防災装置に手なんか加えていない!」


 必死な声でワイルは自身の弁解を行う。彼のこれまでの言動を考えると、リーバに対して危害を加える動機はある。しかし防災装置の管理は教師達が行っていることも考慮すると、彼が装置に手を加えていないという言葉は嘘ではないはずだ。そうなると、防災装置が何故停止していたのかという疑問が再び浮き上がってしまうが。


「ですが、だったらなんであの場でリーバだけが怪我をしたんですか?」

「だね。知ってたから早めに逃げられたって可能性が高そうだけど」

「――それは半分、当たってます」


 そこで口を開いたのは、これまであまり自分から喋ろうとしなかったショージュだった。


「お、おいショージュ。何を」

「ワイル君、あきらめよう。これはもうこっちが話すまでずっと終わらないよ」


 この割り込みは想定外だったのか、ワイルはかなり焦った様子を浮かべてショージュを止めようとする。しかし、覚悟が決まっている彼女はその程度の静止では止まらない。


「黒いコートの人物から情報を聞いたことは話したでしょ?」

「はい。リーバが部長の座を狙っているということでしたよね」

「そこで聞いたことはもう一つあるの。古代魔法研究会の人物が、不正しているかもしれないっていう話よ」

「あれ、部員数を誤魔化しているって話は伝わっていたんじゃないの。確か、そのせいでクラブ活動のルールが厳しくなるんだよね」


 シャータの指摘に対して、ショージュは首を横に振ってから話を続ける。


「そっちじゃなくて、活動の話。古代魔法を解析しているというのは嘘で、活動すらまったくしていないということよ」

「なるほどな。だが、それの証明は難しくないか。古代魔法を使える人間なんてそうそういないだろう?」


 これまでに何度か話が出てきたように、そもそも古代魔法について書かれている本は内容が読み取れず、実際に魔法を扱うことは難しい。つまり、リーバが所属しているのは名前の通り古代魔法を『研究』しているクラブなのだ。実技魔法研究会とは異なり、実際に魔法を扱うまでを想定はしていない。


「その通りじゃ。だからワシの研究会では、世間に出回った古代魔法の研究成果の収集を主に行っておる。功績らしい成果は出しておらん。今は、な」

「今は?」

「忘れたのかえ? ワシは古代魔法を唱えようとしたのじゃぞ。もし成功していたらワシは世界で初めて古代魔法を唱えることができた学生となっていたというわけじゃ」


 そこの嬢に先を越されてしまったがの。と、リーバはフィニティに視線を送る。それに気が付かず、フィニティは未だ収まらない話に欠伸を漏らしていた。

もうちょっと伸びるかもしれません。すみません。

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