EP4-27 - どこまで誰が関与しているのか
「黒いコート? はて――」
「ちょっと待って! それ!」
「どこで会ったんですか! 教えてください!」
問いかけられたリーバを差し置いて、話に食いついたのはフィニティとエリーだ。それも当然だろう。今話題に挙がったのは、以前事件を起こした人物と全く同じ特徴なのだ。二人はワイルの体を掴み、ガクガクとその細い体を揺らして次の証言を求め出した。
「お、おい。揺らすな、やめろ」
「何て言ってたんですか。何かされませんでしたか!」
「ちょっと、二人とも落ち着いてって」
シャータとハジメが二人を引き剝がすが、二人は未だ興奮した様子だ。事情があったとはいえ、被害者となってしまったエリーに行われたことを考慮すると、それも仕方のないことだろう。
「エリー、フィニティ、二人とも落ち着いて。ワイルを見てよ。変な薬を使われた様子なんてないって」
「あ……」
この場で二人以外に唯一事情を知っているシャータの説得を聞いて、二人はようやく落ち着きを取り戻す。確かにこれまでのワイルの言動を見る限り、エリーのようなおかしな様子は見られなかった。確かに取り乱した様子を見せたことはあったが、それも常識の範囲内だ。だとすると、彼は一体何をされたのだろうか。
「はぁ、はぁ。何だよ、やっぱりあいつはお前たちの知り合いなのか」
「知り合いというか、敵です」
少なくとも仲間ではない。そのことは彼らにも伝わったようだった。息を整えたワイルが言葉を繋げる。
「……あいつは言っていたんだ。古代魔法研究会に所属している女が、実技魔法研究会のリーダーの座を狙っているって」
「待てよ。古代魔法研究会に所属している女ってだけじゃあ、魔女のこととは限らないんじゃないか?」
「ボクもそう思ったさ。でも、いざ行ってみたら部員はその魔女しかいないじゃないか!」
確かにそうだ。表向きにどうなっているかはわからないが、今の古代魔法研究会はリーバしか所属していない。そうなると、必然的にその黒いコートの人物が言っていたのはリーバということになるだろう。
「ボクは思ったんだ。ただでさえ怠惰なこいつに、万が一にもボクたちの実技魔法研究会を継がせるわけにはいかない。だから!」
「だから実験室に細工をして、爆破事件を起こしたんですか?」
「あ、いや。それは――」
ワイルは言葉に詰まっていた。元々、ここの集まりは実験室の防災装置が動かなかったことによる事件の詳細を知るために集っているのだ。しかし、今の彼の様子を見ると、どうやら防災装置の停止は彼の行動と関係がないようだった。
(あれ、本当にこれあと3話で終わるのか?)




