EP4-24 - 見えてきた黒幕
「ワイル君……」
震えるワイルの肩に手を置き、宥めるように声を掛けるショージュ。しかしワイルはその手を振り払い、荒げた声で叫び始めた。見苦しく喚くその姿はまるで癇癪を起こした児童のようだった。
「ありえない、古代魔法を使える生徒がいるなんて! 挙句そんな簡単に扱えるなどと!」
「えへへ、そうですか?」
「褒められてないぞ転入生。いや、褒められるべきことではあるが」
「その態度が腹立つんだよ!」
ワイルは先ほどまで見せなかった怒りの表情を浮かべてフィニティのところへとにじり寄る。やがて息が届くような距離まで近づくと彼は手を伸ばし、ガシッと少女の両肩を掴んだ。かなりの力が加わっているのだろう。フィニティは苦痛に顔をゆがめた。
「痛っ……」
「お前、この前の奴だろ。ボクに何の恨みがあるんだ。答えろよ!」
「痛いですっ。何のことですか」
「ワイル君、やめなって!」
痛がるフィニティから手を離すため、ショージュはワイルの腰を掴み彼の体を引っ張って動かそうとした。しかし女子生徒一人の力だけでは男子生徒を動かすことは到底難しい。その様子を見て動いたのは、この場にいたもう一人の男子生徒だった。
「あぁ。理不尽に力を振るうのは良くないな」
大柄な男子生徒であるハジメはフィニティの肩を掴んでいるワイルの手に自らの手を重ねると、強引に少女の肩からその手を引き剝がす。そしてフィニティとワイルの間にはシャータが割って入り、これ以上彼女に危害が加わらないよう体制を作り出した。
「さーて、黒幕が見えてきたのー?」
こういった状況になれど、魔女は態度を崩さない。それがワイルの癇に障ると知っていての行動だった。
「ワイルや、この前の奴とはいったい誰のことかえ?」
「それは……」
「恨みがなんだって言ってたね。もしかして、やましいことでもしていた感じ?」
「やましいことをしていたのはそこの女だろ!」
ワイルはリーバを指差してそう叫んだ。彼が言っていることは正しいのだがその発言に乗ってしまうと話がズレてしまうため、エリーは申し訳ないと思いつつ、彼の発言のみを追及することとした。
「誰か部外者が貴方たちに接触したということですか」
「……っ。あぁそうだよ! どうせそこの女の仲間だろ!」
「話が見えません。何故リーバが部外者を使って貴方に接触する必要があるのですか」
「しらばっくれて……!」
そしてワイルは自らの怒りを全て放つかのように、大きな声で理由を言い放った。
「ボクらの部活が廃部になるからだよ!」
エピソード4はちょっと反省点が多いですね……。
もう少しだけ付き合っていただけると幸いです。




