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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード4

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EP4-22 - 造られた白き結晶

「えぇと……」


 フィニティはリーバから渡された本を手に取ると、素早くページをめくっていく。それはまるで、既に本の内容を理解しているかのような様子だった。


「……すっご」


 それを見ていたシャータは思わず感嘆の息を漏らす。先ほどまではフィニティが古代魔法を使えると言っていたことに対して疑いの気持ちを抱いていたものの、今のフィニティを見ていると本当に彼女が失われた魔法を使えるのではないかと思えてしまう。

 そう考えたのはシャータだけではなかった。その場にいた全員がフィニティに対しての期待を抱いていたのだ。例外があるとすれば、事前に彼女らと敵対していた二人ぐらいだろうか。


「出鱈目だ。適当に読んだふりをしているだけだろう」


 ワイルがボソボソと呟く。先ほどまではフィニティに対して生意気な態度を取っていた彼だったが、今の彼は再び追い詰められたような表情をしていた。彼はフィニティが言っていた古代魔法が使えるということを信じていなかったが、今の彼女を見ていると、彼女が言っていたことが嘘ではないと少しだけ思ってしまったのだ。油断大敵、そんな言葉が彼の頭に現れる。


「読みました。できそうです」


 パタンと本を閉じる音と共に、フィニティは一同に宣言をした。各々の表情が明るいものと暗いものに分かれていく。


「この本は生成魔法について書かれているものだったので、とりあえず最初の方に書かれていた簡単な魔法を唱えます」

「簡単な魔法とは具体的にどんなものじゃ?」

「氷を作る魔法ですよ。じゃあやりまーす」


 そう言うとフィニティは集中するために目を閉じた。

 氷を生成する魔法。それ自体は今でも使われるようなものであり、あまり難易度が高くない魔法だ。水属性単体で使用できる魔法であり、以前エリーが使用していた複合魔法のように高い魔力を必要としていないことや、氷は植物のように複雑な構造をしていないことから、初心者でも扱える魔法だと言われている。尤も、大き氷塊を生成しようとするとそれだけ必要な魔法力は多くなるのだが。


「はっ。なんだ、古代魔法と言ってもその程度か」


 強がった様子でワイルが言った。古代魔法といっても、現代で扱えるものであれば特別な魔法とは言い難い。古代魔法に対しての価値がなければ、それを理由にこの場を離れられると彼は思っていた。

 しかし、その予想は裏切られることになる。


「『生成』。此の空間に雪花を舞い散らせ――」


 詠唱が終わり、フィニティの手の先に現れた青色の魔法陣が光り輝いた。詠唱の短さ、そして魔法が発生するまでの速さ。どちらを考慮しても、現代で使われている魔法より優れている。


「――散氷刃(さんひょうじん)


 フィニティが魔法を唱え終えると、実験室の温度が一気に下がった。同時に部屋中に白いものが現れ、ゆっくりと床へと落ちていく。


「これって、雪?」


 触れると水へと溶けていくそれは、水の季節に天から降り注がれる白い結晶であった。

(ここら辺の展開だけでかなり引っ張ってしまった……)

もう少しだけ続きそうなきがします。

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