EP4-15 - 魔女の言う通り
流石に前回は話が進まなさすぎると思って更新しました。
今回の話で話が進んでるとは言ってない。
「いやーすっかり話が弾んでしまったわい。そういえば、本題は昨日のことだったかのー」
魔女口調の女生徒がようやく本題を切り出したのは、この保健室に集まってから一時間ほどが経過した頃だった。話が弾んだと彼女は言うが、まともに会話していたのは女生徒とフィニティだけだ。残りの三人はただただ黙って待機しており、彼女らの話に区切りがつくことを今か今かと待ち望んでいる状況となっていた。
「そうです。昨日は実験室で何が起きたんですか?」
「うーむ」
女生徒は初めて一同に真剣な表情を見せると、視線を宙へと向けて数秒の間沈黙をし続ける。その視線を再びフィニティ達に向けると、彼女はまた芝居がかった口調で話をし始めた。
「結論から言うとの、ワシにもよくわからんのじゃよ」
「はぁ?」
あっけらかんとする女生徒に対し、エリーは呆れたを通り越して若干の怒りを見せた。そんな彼女を見ても、女生徒は自分の態度を崩さない。
「ワシは古代魔法をあの実験室で試していたんじゃがのー。何故だか魔法が暴発して爆発。加えて防災装置が動かないという愉快痛快な事象が起きてしまったのじゃよ。なんて不憫なワシ。誰か慰めてくれんかの?」
「その口調で誰か怒らせたんじゃないですか?」
「ワシの話し方のせいでワシは命を狙われたというのか! おぉ、なんて不憫なワシ!」
「一旦話を進めることに専念しよう。この子に付き合っていたら時間がいくらあっても足りないよ」
いつもは対人関係を築こうとするシャータも、今回ばかりは付き合っていられないといった面持ちで淡々と話を進めようとする。それほどまでに女生徒の話し方はくどく、疲れるものであった。
「言うのうお主。しかし、ワシはワシが話した以上のことを知らんぞ?」
「……つまり、防災装置が上手く作動しなかっただけってこと?」
「そうなるのー」
「そんなわけない。お父様が装置のメンテナンスを怠るなんて――」
「おー。見覚えがあると思ったらそちは理事長の娘かえ?」
理事長の娘、その言葉で目の前の人間が誰なのかを思い出した女生徒。だからと言って彼女は態度を改めることもせず、それどころかエリーに配慮をする様子など微塵も見られずに話を進めるのであった。
次回は水曜日に投稿予定ですー。