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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード4

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EP4-14 - 魔法使いの魔女

「おーよく来たの。主らがワシの命の恩人かえ?」

「……」


 保健室のベッドに横たわっていた女生徒はフィニティ達を見つけると、その細い体を起こして声を掛けてきた。女生徒はあまり外見に気を使っておらず、前髪の一部が目にかかっている。これまで山で育っていたフィニティはともかく、この学校の女生徒達はエリーやシャータを含めて外見に気を配っている者が多いため、このような野暮ったい髪型をしている生徒は非常に珍しい。しかし、一同が沈黙したのはそれだけが原因ではなかった。


「なんじゃなんじゃ人様の顔をジーッと見おって。そんなにワシが魅力的かえ?」

「いや、顔よりも……」

「お前変わった話し方をしているな」

「言っちゃったかー」


 女生徒の独特な話し方に対して突っ込みを入れたのは、思ったことをそのまま口に出すハジメであった。

 どう考えてもこの女生徒の話し方は一般的ではない。まるで老人のような口調で話すその女生徒を見ているとふざけているようにしか見えなかった。せっかく昨日何があったのかを聞きたかったのに、真剣な空気が一変してコミカルな物に変わってしまった。


「ほー。ワシの話し方が気になるとな」

「おう。何か理由があるのか?」

「よくぞ聞いてくれた。実はワシのこの口調は、古代の魔女をリスペクトした結果なのじゃ!」


 自信満々な表情を浮かべ、堂々と宣言する女生徒。そしてその言葉を聞いた一同は、意味が分からず首を傾げるのであった。一同の様子を見て話が通じていないと理解した女生徒は、一度咳払いを挟んでから解説をし始めた。


「……つまりじゃな。古代魔法を研究しているワシは、その失われた魔法の正体を追い求めるため、とりあえず形から昔の人間になろうとしたのじゃ」

「それでおばあちゃん口調ってわけだ」

「うむ。ま、これが本当に魔女の口調なのかはわからんがの」


 じゃあ意味ないでしょ。エリーは喉元まで出かかった言葉を飲み込むものの、代わりに頭を抱えてしまう。何故かフィニティと関わり始めてから、彼女を含めて変わった人物と関わることが増えた気がする。

 そんなエリーの横で、未だ真剣な瞳で女生徒を見つめるフィニティ。まるで何かを確かめるかのように、彼女は視線を送っていた。


「どうかしたのかえ?」

「……あ、わかった!」


 するとフィニティは手をポンと叩き、細く小さな指を女生徒へ向ける。


「その口調、あたしのじっちゃんに似てるんですよ!」

「おー。その爺は魔法使いかえ?」

「はい。なので魔女の口調、当たってると思いますよ!」

「なるほどのー。これで人生の心配事が一つ減ったわい!」


 はっはっはと楽しそうに笑う二人。未だ頭を抱えるエリー。そして若干呆れた表情をしているシャータと、話についてこれていないハジメ。

 結局、昨日何が起きたのかを聞くことができたのは一度場が落ち着くまで待ってからになるのであった。

多分この章は他にも新キャラを幾つか出すことになると思います。

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