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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード4

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EP4-11 - 残された人、推測できること

「なに、今の音……」


 日常では聞かない音を耳にしたエリーは困惑の表情を浮かべる。そしてその直後にフィニティは音が鳴った方へと駆け出した。


「あ、フィニティ!」

「音は実験室の方からだ。俺たちも行くぞ!」


 ハジメが叫ぶと同時に、三人も音の発生元まで走り出す。廊下を走るなという注意書きを無視し、たどり着いた魔法実験室の扉からは黒煙が漏れていた。その煙が止まらないところを見ると、どうやら室内に設置されている消火のための装置は起動していないようだ。


「消火装置はどうなってるの!」

「知らん! とりあえず中に入るぞ!」

「煙は吸わないように! 入ったらまず窓を開けますよ!」


 過去に行った防災訓練を思い出し、三人は口元を押さえて中へと突入しようとする。しかしその瞬間、扉から溢れたのは煙から水へと変わった。何が起きたのか、一同が考え始める前に、答えの方からこちらへとやって来る。


「火は消しました」


 扉を開けたのは先に飛び出していったフィニティだった。頭のてっぺんから足元までずぶ濡れになっている彼女を見る限り、彼女が水の魔法を使って火を消したのだろう。

 一同の視線は扉の先、実験室の中へと向けられた。そこには一人の女生徒が倒れており、手には濡れた本が握られている。


「息はあるみたいですけど、ちゃんと休ませた方が良さそうです」

「わかった。じゃあ保健室に連れて行こうよ。ハジメ、背負って」

「おう」


 二つ返事で引き受けると、ハジメは倒れている女生徒を背負う。そのまま歩き始めて扉を超えようとした瞬間、彼は足をピタリと止めて振り返り教室を見渡した。天井から床まで、そして実験室の端から端までがびっしょりと濡れている。更に窓が開いており、そこから地面を覗いてみるとグラウンドが濡れているように見えた。これらのことを踏まえると、ここで水の魔法が発動したことは間違いないだろう。


「これを転入生がやったのか?」

「?」


 質問の意図がわからず、首を傾げるフィニティ。


「この状況を見る限り、教室を覆い尽くすほどの水を出したんだろう? それをお前一人でやったのか?」

「あ、はい。やりました」

「ほう」


 ハジメはこれまで見せなかった真剣な表情を浮かべてじっとフィニティを見つめた。その言葉が真実なのかどうか、嘘偽りがないかを見極めるかのように。


「どうしたんですか?」

「早くその子を連れて行かないとまずいでしょ」

「ん、あぁ。すまなかったな」


 フィニティから目線を外したハジメはいつもの朗らかな笑顔を浮かべ、再び足を動かし始める。何故見つめられたわからないフィニティはもう一度首を傾げると、彼らの後ろをとてとてとついていくのだった。

登場人物周りだけじゃなくて設定とか教室まわりも今後はまとめた方が良さそうですね。

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