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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード4

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EP4-4 - 流された自己紹介

「で、どうなんだ。転入生? お前はその小さな体で、魔法を使いこなすことができるのか?」


 男子生徒の問いかけと共に、再び教室中の視線がフィニティへと向けられる。男子生徒の質問はクラス中の全員が思っていた疑問だ。自分だけが思っていたわけではない、そう感じたクラスメイト達の視線は懐疑的なものへと変わっていた。


「そこまでですよ皆さん」


 その教室中の視線からフィニティを守るかのように、フレムーはフィニティの前へと立ち仲介に入る。そして目を細めた彼女は、睨み返すようにして生徒達へ語りかけた。


「彼女の魔法力はこのクラスに入るための基準をちゃんと満たしています。魔法が使えるかどうかは別の問題です」

「おう。それもそうか」

「ここにいる皆さんだって、入学当初は魔法を使える人の方が少なかったでしょう」

「おう。それもそうだったな」

「特にハジメさん。普段の貴方の態度から察して、貴方が自分自身の興味本位から質問をしたのは推測ができます。ただ人の体格を揶揄したその言い方は、人を馬鹿にしているようにしか聞こえません」

「おう。確かにその通りだ。これは配慮が足らんかったな」


 自分の非を認めた男子生徒――ハジメ・クゾカイダは席から立ち上がるとフィニティの近くまで移動し、その大柄な体を四十五度曲げて頭を下げた。


「すまん転入生。悪気はなかった……と言っても信じてはもらえんだろうが、悪かった。この通りだ」

「い、いえ。気にしないでください。それに……」


 視線が分散されたことや、ハジメから悪意が感じられなかったことから安心したフィニティは、笑みを浮かべながらこう答える。


「なら魔法を見せれば皆さんに認めてもらえますよね」

「え?」


 フレムーは細めた目を丸くして、素っ頓狂な声をあげる。

 

「なるほど、確かにそうだな!」

「いやちょっと待ってください」


 頭を上げて手をポンと叩き、納得した様子を見せるハジメ。その横で若干呆れたような表情を浮かべ、フレムーは二人に向かって注意をする。


「フィニティさん、魔法は決められた校内の区画でしか使用が認められていないんです。入学前に渡している書類に記載があったはずですよ。というかハジメさんは知っているはずでしょう」

「あ、そうでした。改製魔法もダメなんでしたっけ」

「もっとダメです。改製魔法なんて危険な物、生徒に使わせるわけにはいきません」


 改製魔法とは、対象の物体の情報を永続的に書き換える魔法だ。失敗した場合はその物体が使い物にならなくなってしまうため、非常に危険な魔法でもある。そのためマージ・モンドでは改製魔法を生徒に使わせることを禁止していた。フィニティは気が付いていないが、実はそのことについても入学前に渡された書類に記載がされている。


「ともかく、フィニティさんの魔法の実力は実技の授業の時に確認してください。二人とも席に座って。一時限目の授業を始めますよ」

「え?」


 自己紹介は?

 そうフィニティは思ったが、ハジメが席につきクラスメイト達が教科書とノートを広げている以上、フィニティ一人のためにこれ以上時間を奪うのはあまりよくなさそうだ。自己紹介と同じくらい、人に合わせることが大事だとエリーとシャータは言っていた。

 せっかく練習したのになぁ、と内心思いながらも、フィニティは用意された席について初めての授業を受けるのだった。

改製魔法の説明については、EP3-23にて詳しくせつめいしているのでそちらをご確認ください。

登場人物以外の設定もどこかでまとめた方が良さそうですかね……。

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