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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード4

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EP4-3 - 更に自己紹介の前に

 教室の前にたどり着いたフィニティが思ったのは、特別枠とは言えど教室の内容はエリー達のものと変わらないのか、という感想であった。外観は勿論、中を覗いても特に変わった様子は見られない。強いて言うのであれば、やや喧噪気味なことだろうか。

 フレムーはフィニティに扉の前で待機するように伝えると、先に一人で教室の中へと入っていった。担任教師が入って来たというのに騒がしいところは変わらない。フレムーが厳しい口調で注意をすることで、ようやく静かさが感じられるようになった。

 教室の中ではフレムーが出欠を取っている。その様子をこっそりと覗きながら、フィニティは昨晩エリーに言われたことを考えていた。


「よく聞いてフィニティ。自己紹介はすごく重要だから、失敗しないようにね」


 曰く、自己紹介の出来によって今後の学校生活の良し悪しが決まるとのことだった。隣にいたシャータは若干否定をしたものの、それでも出来がいいことに越したことはないと言っていた。


(練習だってした。大丈夫だ)


 そういったことを聞かされたため、フィニティは事前に自己紹介の内容を考え練習を行っていた。彼女の睡眠不足はそのせいでもあった。

 自分のことを簡単に話す。それが自己紹介だということだが、やってみると意外と難しい。そもそも彼女は自分のことを誰かに話す機会があまりなかった。エリーやシャータには名前と出身くらいしか伝えておらず、センと出会った時は彼からの質問に答えていただけだ。学校生活だけではなく、自己紹介もフィニティにとっては初めての経験なのだ。


「では、フィニティさん。入ってきてください」

「は、はい!」


 出欠や連絡事項の確認が終わり、フレムーはフィニティを教室へと入るよう促した。返事をしたフィニティは音が立つほど勢いよく扉を開けて、ぎこちなくフレムーの隣へと移動した。


(うわっ)


 大体二十人程度だろうか。教室中の生徒の視線を一斉に受けたフィニティは、無意識に尻込みをしてしまった。購買の手伝いをしていた時と違い、奇異なものを見る視線だったこともあるだろう。この教室の生徒達は年齢がバラバラではあるものの、フィニティほど幼い容姿の生徒はいなかった。フィニティは間違いなくこの教室で一番年齢の低い生徒だ。

 尻込みをするフィニティであったが、黙っていてもこの状況が打破されるわけではない。一度深呼吸をし、フィニティは意を決して自己紹介を行おうとする。


「ほう。随分と小さいな」


 しかし、それは一人の男子生徒の声に遮られた。向けられていた視線もフィニティからその生徒へと移動する。


「そんな体で魔法が打てるのか? 俺にはどうも信じられないが」


 一見馬鹿にしたような言葉であるが、その男子生徒は眉を顰めながら首を傾げている。彼は嘲笑したわけではなく、純粋な疑問をぶつけていただけのようだった。

最近ゲームが面白くてあまりストックが無くなってきました……。

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