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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード3

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EP3-19 - 彼女はようやく帰って来た

「用事? あぁ、そういう風に言ってたっけ」


 結局、シャータがエリーと話すことができたのは昼休憩の時間になってからのことだった。エリーと話したがっていた人々も流石にこの時間は昼食を優先したようで、自然と彼女の周りから人がいなくなっていた。シャータはこれをチャンスだと思い、エリーに用事の内容を訊ねることとしたのだが、その答えは予想外のものだった。


「あれ、実は嘘なんだよね」

「は?」

「ちょっとフィニティと二人きりになるのが気まずくなってさ。一旦その場を離れるために嘘をついたの。本当は用事なんてなかったってわけ」


 ケラケラと笑いながらエリーはそう言った。用事なんてない、だとしたらシャータの推測は誤っている。

 彼女の推測はエリーが用事とやらで何者かと接触し、そこで何かの出来事があってエリーの性格が変わってしまった、そういったものだからだ。そもそもの用事がなかったということであれば、推測が誤っていることとなるはず。


(いや、待てよ)


 しかし、全てを否定する必要はなかった。何故ならエリーは、用事があると嘘をついて一人になる時間を取っている。その時間の中で何者かが干渉したとするならばシャータの推測は成立するはずだ。それなら。


「へぇ、ならあの人はなんなの?」

「……あの人?」

「会ってたでしょ、その嘘ついて一人になっていたときに」


 出鱈目だ。シャータはその時のエリーの様子を知らない。所謂ハッタリをかましたのだ。

 シャータの推測が誤っていればそれまでだ。それならそれで何があったのか考え直す必要がある。だが、このハッタリは不発に終わらなかった。


「……何のこと?」


 エリーは明らかに動揺していた。彼女は元々考えが顔に出るタイプだ。恐らく彼女自身は気が付いていないだろうが。

 そしてその態度からシャータの推測は概ね正しいことがわかった。エリーと出会っていた人物、それが魔法力を高める方法を知っている人物であり、エリーの性格を変えた犯人だ。


「とぼけても無駄だよ。で、あの人なんなの?」

「……知らない」


 顔を背け、言葉が詰まるエリー。先ほどまでの饒舌な彼女はもうここにはいない。

 

「ようやくいつものエリーらしくなったじゃん。やましいことでもしてた?」

「そんなこと……ない」

「してたんだ」

「してない」

「嘘。エリーって噓ついているとき、絶対に目を見ようとしないんだよね」

「……」


 エリーは無言で顔をシャータの方へと向ける。その瞳には苛立ちが込められていて、睨みつけるような視線を送っていた。

新しいフォーマットに慣れないですね……。

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