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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード3

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EP3-18 - この気持ちこそが嫉妬

 実習授業が終わり、シャータ達が魔法実験室から教室へと移動する中、エリーは常に声をかけられ続けていた。実習授業で一番高度な魔法を使うことができた彼女はクラス中の注目の的となっており、男女問わずに誰もが彼女と話したがっていたのだ。そこには『スーン・サーベスの娘』と話したい集団ではなく、『エリー・サーベス』と話したい集団が出来上がっていた。


「エリーさん、複合魔法なんていつ覚えたんですの?」

「つい先日です。複合魔法の理論自体は昔から知っていたんですが、中々それを実践することができなかったので」

「ということは努力の結果で唱えられるようになったということですのね。素敵ですわ!」


 エリーはその言葉に対し、肯定も否定もしなかった。

 確かに彼女はずっと努力をしていたが、高度な魔法を使えなかったのは素の魔法力が低かったからだ。それを知っているシャータは、エリーが言っていた魔法力を高める方法とやらがあるのだと納得せざるを得なかった。エリーの性格が変わってしまった理由を確かめるには、まずその方法を知らなければならない。

 しかし現状、シャータはその方法とやらに全く見当がついていなかった。エリーが独学で身に着けたのか、それとも誰かから教わったのか、それすらもまだわかっていない。そこでシャータは一度エリーが言っていた言葉を思い出すことにした。


(普段通り、絶好調、嫉妬……)


 昨日は絶不調と言っていた彼女が一晩、いや昨日の放課後から絶好調となっていた。フィニティが言っていたことを考慮すると、用事とやらが済む前後で様子が変わっている。そこで急に変わったという事実を考慮すると、外部からの干渉のせいで今の状態になっている可能性の方が高いだろうか。エリー自体が独学で魔法力を高められたのであれば、急に様子が変わるはずがない。それがシャータの推測だった。

 であればその用事とやらの内容がわかれば良いのだが、フィニティはそれを知らないと言っていた。見当がつかない以上、これだけはエリーに直接聞くしか知る方法がなさそうだ。そう思ったシャータはエリーに声を掛けようとするが、気が付けば彼女の周りには人の輪が出来上がっており、声をかけるには難しい状況となっていた。


(本当に変わっちゃったんだなー)


 昨日までは人と話すことを鬱陶しそうにしていたエリーが、笑顔でクラスメイトと話している。

 その事実は、恐らく素晴らしいことだ。人が一人で生きるのは難しい。周りの人間と円滑にコミュニケーションを取ることができるのであれば、それはとても良いことだろう。だからそのきっかけを知りたい。もしそのきっかけが悪意のある物だったとしたら、シャータは許せそうになかった。

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