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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード3

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EP3-14 - 追い詰める決心

年度末は大変ですね……。

――――――


「ご機嫌ようエリーさん!」

「えぇ、ご機嫌よう」


 フィニティとシャータが策を練った次の日、エリーは何事もなかったかのように教室へ登校していた。普段の彼女と異なる点があるとすれば、少々上機嫌だというところだろうか。いつもの彼女であれば、クラスメイトに声を掛けられたとしても無反応だっただろう。そんな友人の様子を、シャータは横目で見ていた。


「シャータ、ご機嫌よう」

「ん、ごきげんよう。お嬢様」

「……なんだか元気がないみたいだけど、何かあったの?」

「そっちこそなんだか元気が有り余っているみたいだけど、何かあったの」

「私? 私は普段通りだけど」


 そう言って首を傾げる彼女だが、口元が笑っていた。ニタニタとした見下したような笑みだ。

 なるほど、確かにフィニティの言う通り今のエリーは様子がおかしい。少なくともエリーがこのような表情をシャータの前で、いや人々の前で浮かべたことはなかった。実際に会うまで様子がおかしいというのはフィニティの勘違いではないかと、そう心の片隅で思っていたシャータであったが、真実はフィニティが語った言葉であった。


「普段通りってことはないんじゃない。だって、普段なら許可もとらずに魔法をぶっ放したりしないでしょ」

「あぁ、複合魔法のことを聞いたの。誰から?」

「フィニティから。あの子、あんたのことを心配していたみたいだけど」

「そうみたいだね」


 他人事のように話すエリー。二人は今、同室にいるのだから互いの様子がわかるはずなのだが。


「心配はいらないって言っておいたから大丈夫だよ。私は普段通り、いや絶好調なんだから」

「絶好調、ねぇ。何があったか聞いていい?」

「あは、秘密」

(あは、って何だ。そんな笑い方をする奴じゃなかっただろ。あんたは)


 今のエリーを相手にしていると、シャータは自分の調子が狂っていくことを実感する。まるでエリーの皮を被った別人を相手にしているような気分だ。周りがそのことに全く気が付かないこともまた不気味だった。今日はエリーが挨拶を返してくれる、程度にしか周囲の人間は思っていない。この教室の中で彼女が壁を作っていたのは知っていたが、もはやここまで酷い状況だとは思っていなかった。


(だとしたら、助けられるのは……)


 やはり自分たちしかいない。そう実感するシャータであった。

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