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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード3

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EP3-12 - 今頼れる友人は

「おーいエリー、さっきの爆発見たー? ってアレ」


 独りぼっちで部屋に取り残されたフィニティ。そんな少女の下へやってきたのは、部屋主であるエリーの友人のシャータだった。彼女もまた、エリーが起こした複合魔法を見た一人のようだ。


「フィニティだけ? エリーは?」

「エリーさんは……、センさんに連れていかれました」

「センちゃんに? なんで」

「あたしにもわかりません。さっきのエリーさん、変だった」


 先ほどの一連の流れ。部屋に戻って来てから魔法を唱えるまで、明らかにエリーの様子がおかしかった。もしかしたら彼女が用事とやらを済ませている間に、その身に何かあったのではないか、そうフィニティは推測する。しかし肝心の予定の内容がわからない以上、何が起きたのかを調べることは難しい。

 もどかしい、そんな気持ちがフィニティの全身を駆け巡る。センに連れられてこの学校に来たフィニティにとって、エリーは初めてこの学校で声を掛けてくれた人だ。まだ一日二日の付き合いではあるが、彼女が優しい人物だと、そうフィニティは感じていた。そんな人が急に変貌してしまうのは嫌だ。あぁ、もどかしい。


「おーいフィニティ。フィニティやーい」


 そのもどかしさを感じつつ、フィニティは部屋へやって来たシャータの方へ顔を向けた。そういえば、彼女がこの部屋に来た目的を聞いていない。


「すみませんシャータさん。何のご用ですか?」

「いやそれどころじゃないでしょ。何が起きたのか話してみ」

「え?」

「そのジメっとした暗い顔、どう見てもアタシが昼間見た看板娘フィニティちゃんのカワイイ表情じゃないよ。なに、喧嘩でもしたん」


 そんな顔をしていたのだろうか、フィニティ自身には全く自覚がなかった。

 よく思い返してみれば、確かに嫌な気持ちを持って考え事に耽っていた。そんな気持ちのまま物事を考えるのは初めてだった。自然と顔も強張っていたのかもしれない。


「喧嘩はしていないです。……あ、でも」

「どうした?」

「あたしに負けないって言ってました」


 エリーはこの部屋を出る際に、『私は負けませんよ、フィニティ』と言っていた。しかし、彼女とフィニティの間に勝負事は一切ない。一体彼女はフィニティの何に勝とうとしているのだろうか。この件に関して全く見当がつかないことをフィニティはシャータに告げる。


「うーん。本当に何も思いつかない?」

「はい。その前のことを考えても、なんで急に爆破魔法なんて使ったのか……」

「ちょちょちょい。え、もしかしてさっきの爆発ってエリーがやったの?」

「あ、話してませんでしたね。そうなんです。唱えているときも様子が変だったんですけど」

「あのエリーがねぇ……」


 シャータは顎に指を添え、初めて真剣な表情を見せる。その表情は恐らく、先ほどまでフィニティが浮かべていたものと同じであった。

ようやく久しぶりに主人公に視点が戻って来た……。

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