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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード3

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EP3-10 - 部屋主不在で進む話

――――――


 エリーの部屋で一人部屋主の帰りを待つフィニティ。静寂が訪れていたその部屋に、コンコンとノックの音が飛び込んできた。


「エリー、フィニティ、いるか」

「あ、センさん? いますよー」


 返事の後、扉を開けてやって来たのはセンだった。センは制服を着たフィニティの姿を見ると、一言「似合っているじゃないか」とだけ言って別の話題を切り出す。


「入学手続きの書類を取りに来たんだ。渡しただろ?」

「書類……」


 フィニティは一度視線を上に向けて数秒ほど考え込むと、そのまま床の方へと顔を下げる。そこには何枚かの紙が束になって放置されていた。制服の方に夢中となっていたフィニティは書類のことをすっかり忘れていた。


「忘れてたのか?」

「ごめんなさい。制服と一緒に読み方を教えてもらおうと思ったんですけど」

「読み方って、特に難しいことは書いていないと思うが」

「いやー、文字が全然読めなくて。何て書いているのかが全くわからなかったんですよ」

「文字?」


 センは床に置いてある書類を拾い、記載されている内容に目を通す。使われている文字は全てこの大陸で統一されているものと同じだ。稀に異なる文化圏の島の文字が使われることもあるが、フィニティに渡した書類にはそのような文字は使われていなかった。

 そもそも、フィニティとセンはこうして話ができているのだ。言葉が通じ合うということは、基礎知識や文化自体は同じもののはず。それなのにピンポイントで文字だけが読めないということは、もしかしたらこれまで文字の読み書きをして来なかったのだろうか。だとしたら本当に彼女は特別な環境で育っている。

 仕方がない。言葉が通じるのだから、今回は一緒に書類を読みながら記入していこう。本格的な読み書きについては、いつか自分かが教えればいい。もし協力してもらえそうならばエリーにも手伝ってもらおう。そう思ったセンは、そこでようやくこの部屋の主が不在であることに気がついた。


「エリーはどこにいるんだ?」

「さぁ」

「さぁって、そこのノートが入っている鞄はエリーのだろう。この部屋に戻って来たんじゃないのか」

「戻っては来たんですけど、用事があるから待っててって言って出ていきました」

「そうか、用事なら仕方ないな」


 せっかくだからフィニティを預かってくれたお礼に食事でも御馳走しようと思ったのだが、不在なのであれば仕方がない。フィニティの書類を記載している間に戻ってきたらその時に誘ってみよう、そうセンが考えるのと同時に、ノックもなしに誰かが部屋に入って来た。


「あら、先生。ご機嫌よう」


 えらく上機嫌な様子のエリーがそこにいた。

なるべく話を進めようとは思ってますが、そうでもないですね……。

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