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EP1-2 - 動き始めた運命

――――――


「……ん?」


 センが目を覚まし辺りを見渡すと、そこは見覚えのない木造の小屋の中だった。

 木の板が撃ち込まれた低い天井、同じく手を伸ばせば届きそうなほど近くにある壁。人間が二人ほどしか暮らせなさそうな狭い空間の中で、センは一人で布団を被っていたのだった。

 何故こんなところに自分はいるのだろう。センは意識を失う前の出来事を思い出そうとするが、その前に一人の少女がセンの目の前に現れた。


「あ、起きてる」


 栗色の髪を肩まで伸ばした、恐らく十歳くらいの背丈の少女。彼女は手に持っていた薬草をセンの枕元に置き、そのまま奥にある厨房へと向かっていった。


「ここは一体どこなんだ。それに、君は?」

「あたしはフィニティ・フレインです。そしてここはあたしの家」


 厨房から興味のなさそうな返事が返ってくる。

 

「家? ヤクノシュ山に住んでいる人がいるなんて聞いたことがないが」

「へー、そうなんですね」


 フィニティと名乗る少女はもう一度興味がなさそうに相槌を打つと、湯気の立つ木皿を持って再度センの下へやってきた。見た目から察するに、どうやら木皿の中身はスープのようだ。


「どうぞ。疲れが取れやすい薬草を使ったスープです」

「あぁ、ありがとう。……うぉっ」


 不味い。とても不味い。

 それは料理というよりも薬であった。センがスープを口に含んだその瞬間、まず薬草の青臭い味が口いっぱいに広がる。更に適当に付け加えた調味料のせいだろう、中途半端な辛さが後から襲い掛かってきたのだ。こんなスープは食べたことがないと、センは心の中で思った。

 しかし、これは助けてくれた少女が善意で作ってくれたもの。間違っても不味いだなんて口には出せないし、態度にも出せない。そう思ったセンは、スープを飲み干すときに精一杯の作り笑顔を浮かべた。


「ごちそうさま、美味しかったよ」

「そうですか」


 フィニティは空になった木皿を受け取ると、それを片づけに再度厨房へと向かった。布団に入りながらそれを見送ったセンは、「そういえば」と、あることを思い出す。

 自分は山で倒れていたはずだが、どうやってこの小屋まで運ばれたのだろう。もしかして、あの少女が自分をここまで担いだのだろうか。あの小さな体で。……まさかな。

 彼女には色々聞くことがありそうだと考えたセンは、一度考えることをやめ、ふと枕元に置かれた薬草へ視線を移した。その薬草は薬学書に書かれていた、足の傷に効く薬草とよく似たものだった。

とりあえず毎週書けるということはわかってきましたので、頑張って文字数か頻度を増やしたいところです。

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