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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード11

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EP11-25 - イベント開催

 ――――――


「準備はいいか、フィニティ」

「――はい、勿論です!」


 ついに訪れたイベント当日。噴水広場にはフィニティ達イベント関係者と、広場が埋め尽くされそうなほどたくさんの観客が集まっていた。観客にはイベントを知ってやって来た人もいれば、賑わいに惹かれた魔法には興味のない人もいる。正に老若男女問わず様々な属性の人々がイベントにやって来ていた。


「しかし、想像以上に客が集まっとるのー」

「なんかじっちゃんが頑張ってくれたみたいですよ」


 この観客の多さはゲシハーの転移魔法あってのものだ。ここまで人が集まるほどイベントの告知ができているのであれば、ドアンドにもイベントの話が届いているかもしれない。作戦が成功する未来はすぐそこに見える。そのおかげでフィニティは、こんなに大勢の人の前でも緊張することなくいられた。

 寧ろ緊張しているのは、常にのらりくらりとしているリーバ以外の生徒達だった。勿論覚悟はしていたが、いざこうして大勢の人たちを目の前にすると、本当に自分たちが課せられた役割をこなせるであろうか、フィニティや観客たちを守ることができるだろうかと体に力が入ってしまう。

 この前ドアンドと対峙した時、自分たちは何もできなかった。守りたいという気持ちだけあっても、上手くいかないのではないだろうか。そんなことを意識している場合ではないのに、不安が全身を巡っていく。


「エリーさん、大丈夫ですよ」


 力が入っているエリーの肩に、フィニティは優しく手を乗せる。昨日とは逆に、今度は自分が彼女の緊張をほぐすべきだとフィニティは思っていた。いつものように笑顔を浮かべて、いつものような穏やかな声で話しかける。


「この前とは違って、じっちゃんやばっちゃん、理事長先生もいます。こんなに頼りになる人たちがいて、更にエリーさん達もいるなら何が起きたって大丈夫です」

「フィニティ……」

「だからあたし、安心して行ってきます。大丈夫、なんとかなりますよ」


 フィニティは自らの胸を得意げに叩く。ドンッと鳴ったその音は、エリーの緊張をほぐすに値する力強いものだった。


「うん、そうだね」


 先ほどまでの強張った表情から一変し、エリーはリラックスした様子で笑みを浮かべる。そして周りにいる仲間を見渡して、ガッツポーズをしながらこう言った。


「皆、頑張ろう! こんなに力強い仲間たちがいるんだよ。皆で頑張れば、作戦だって上手くいくはずだよ!」


 エリーの言葉を聞き、ハジメやシャータの緊張も薄くなっていく。彼女の言う通り、後は頑張るだけ、それだけだ。

 作戦の要であるフィニティは、スーンやゲシハーと共にステージの裏側へと歩いていく。エリー達はそれを見送ると、各々が決められた立ち位置へと向かうのであった。

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