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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード11

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EP11-21 - トレーニング成果

 フィニティたちはマージ・モンドの理事長室へと場所を移して、彼女の空間魔法の練習成果を見ることにした。先ほどのやり取りにあった見せびらかすような目的ではなく、あくまで皆に空間魔法が扱えるようになったことを証明するための行動であった。


「ではフィー、魔法を唱えてくれ」

「わかった!」


 フィニティは両手を向かい合わせるように掲げると、魔法の詠唱を唱え始めた。彼女の手と手の間に小さな魔法陣が生まれ、陣の真ん中を中心に段々と小さな丸い空間が生成されていく。やがて魔法陣がなくなり、片手より少しだけ大きいくらいの丸い空間だけが残った。


「これが空間魔法……」


 丸い空間はフィニティが離れてもその場に浮き続けている。まるで水泡の塊のようなそれに、フィニティは「試しに」と、近くにあった紙屑を突っ込んだ。紙屑は空間へと飲み込まれ、消えた。


「紙屑が消えた?」

「いえ、別の空間へ収納しただけです。その証拠に……」


 フィニティは空間に手を突っ込むと、先ほどの紙屑を取り出した。消えたものが急に出てくるその行為は、まるで手品のようだった。


「この空間はずっとこのままなの?」


 エリーは浮き続ける空間を指差して質問をする。フィニティは首を横に振ると、再度紙屑を空間へ収納した。その後先ほどとは異なる魔法を唱えると、ついさっきまでそこにあった小さな空間が光となって消えていく。


「いえ、この通り空間を閉じる魔法を使えば消せますよ。そしてですね……」


 フィニティは再び空間生成の魔法を詠唱し、別の場所に空間を生成した。そしてもう一度空間へ手を突っ込み、紙屑を取り出して皆へと見せつける。


「一度収納したものは、こうして再度魔法を唱えて取り出すこともできるんですよ」


 おぉ、という称賛の声が上がる。事前に聞いていたが、これは便利な魔法だ。使いこなすことができれば人類の生活を豊かにすることができるだろう。

 続いて、今度はゲシハーが魔法を唱え始めた。フィニティが唱えたものと同じその魔法からは、彼女が唱えたものより一回り大きめの空間が生み出される。ゲシハーは飴を大きめの空間へ入れると、今度はフィニティが自分の生み出した小さめの空間からその飴を取り出す。


「空間魔法は共有して扱えるので、こうして誰でもアクセスすることができるんです。魔法力さえあれば誰でも扱えますよ」

「想像はしていたが、いざこうして実演されると便利さがわかるなー」


 ハジメは素直に感嘆の声を漏らす。フィニティはこれから、より大きな空間を生成できるようゲシハーと練習を進めるという。どうやら彼女の魔法については心配なさそうだった。

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