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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード11

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EP11-16 - ドアンドへの対策を練るために

 ――――――


「それじゃあじっちゃん! 行ってきまーす!」

「気を付けるのじゃぞ」


 翌日。フィニティはゲシハーと共に転移魔法を使い、マージ・モンドへと登校した。授業があるフィニティは教室へ向かい、ゲシハーは孫を見送ると、話し合いのためにスーンのいる理事長室へと向かった。ゲシハーがマージ・モンドの校舎を歩くのは今日が二度目だが、彼は迷いなく足を進める。ゲシハーは空間を把握魔法も備えており、この校舎の間取りを地図もなしに把握していたのだ。


「それにしても立派な建物じゃて」


 老人は誰にも聞こえない独り言をポツリと漏らす。マージ・モンドの校舎は耐魔法、耐物理ともに高い性能を持っていた。魔法技術自体は自分たちが過ごしていたユニヴァース・ロストの時代の方が秀でていたかもしれないが、魔法以外の技術はこの時代の方が優れていると思う。

 もしかしたら、この時代の人々であれば自分たちが持っている魔法の知識を伝えても、その技術を平和な世界を作るために使ってくれるかもしれない。そんな淡い妄想をしつつ、ゲシハーは理事長室の扉を叩いた。


「ゲシハー・フレインじゃ。スーン殿、いらっしゃるかな?」

「えぇ。鍵は開けてます」

「失礼しますよ」


 ドアノブを回して重い扉を押し、ゲシハーはこの学校で最も華やかな部屋へと入る。目の前にいるのは金髪の男、スーン・サーベス。この学校の理事長であり、一番の権力者。そして自分たちに協力してくれる仲間である。現代の魔法学に精通している彼は、古代魔法に精通しているゲシハーを快く受け入れた。


「今日は時間を作ってくださり感謝しますじゃ」

「こちらこそですよ。さて、昨日話していたイベント会場の件ですが、幾つか候補を絞り込めました」

「おぉ。誠か!」


 ドアンドをおびき寄せるためのイベントを開く会場について、なるべく広いところがいいと策を立てたゲシハーはスーンに言った。狭いところだとドアンドが自分たちに襲い掛かって来たとき、一般人の避難が済む前に被害が出てしまうためだ。最適な場所を探すには数日ほど時間がかかるだろうと思っていたが、流石現代の魔法学の研究者。太いコネクションもあるということだろう。

 ゲシハーはスーンが用意したイベント会場の間取りが書かれた紙に目を通し、最適な場所がないかを確認する。そしてとある場所に目を留めると隅々まで目を通し、自分の考えと一番近いその場所を作戦の場所に決定した。


「スーン殿。こちらで」

「わかりました。それでは、この会場の規模に合わせた警備の手配をしましょう」


 流石に数日はかかりますが。とスーンは一言添える。数日でなんとかなるなら十分だ、とゲシハーは心の中で呟いて、次の議題について話し始めようとした。

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