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フィニティ・フレインは山を下りて何を思うのか  作者: 鳥羽 こたつ
エピソード11

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EP11-11 - 思いついた作戦

「一つ策を思いついた」


 顎鬚を撫でるのを辞めたゲシハー。そんな彼が発した言葉に、部屋の中にどよめきが生まれた。


「ほんと? じっちゃん!」

「どんな作戦を思いついたんですか?」

「うむ。先ほどのお嬢さんの言葉からヒントを得てな」

「え、アタシ?」


 まさか自分が話題に上がるとは思っていなかったようでシャータは自らを指差しながらポカンと口を開けていた。


「お嬢さんはドアンドの使える魔法がわかれば、彼の興味を惹くような魔法も思いつくと言っていたじゃろう」


 当の本人はあまり深く考えないで発言していたようで、シャータはそんなことを言っただろうか、とでも言いたげなとぼけた顔で宙を見ていた。


「そこでワシは奴の苦手分野から考えた。あやつは生成魔法は得意じゃったが、空間を創り出す魔法は苦手だったはずじゃ」

「空間、ですか」


 ゲシハーは話を続ける。空間を創り出す魔法というと、以前ゲシハーは自分が書いた本に使い方を記したと言っていたはずだ。


「うむ。ワシが書いた本にも記載していたが、ドアンドがそれを読んですぐに理解できるとは思い難い」

「なるほど。であれば空間魔法を披露する場を作れば、彼がそれを見に来るかもしれないということですね」


 センがゲシハーの意図を察して言葉を繋げた。ゲシハーは頷き、その魔法がドアンドをおびき出す餌になるということを伝える。しかし、もう一つの懸念点があることを忘れていなかった人物がいた。スーンだ。


「しかしゲシハー殿。それは古代にしか存在しない強大な魔法ではないですか?」


 その懸念点とは強大な魔法を使わないということだ。古代魔法の中には世界や人類の常識に影響を与えるような強い影響を持つ魔法が存在する。ゲシハーやサオエルは元々そのような魔法を使わない否定派の派閥だった。今回、ドアンドを誘い出す策を練るとしても、そのような魔法は使わないようにすると事前に話していた。


「その点に関しては考慮しておる。空間を創り出すとしても二種類があってのう」

「二種類、ですか」

「うむ。自分しか干渉できない空間と、他者も干渉できる空間じゃ。今回披露するのは他者も干渉、閲覧できる空間とする」

「何故そちらの方を?」

「自分しか干渉できない空間じゃと、小さな空間しか創れなくてもそこに凶器を隠して暗殺などができてしまうじゃろう?」


 ゲシハーは当たり前のようにそう言った。恐らくだが、過去に実際起きたことなのだろう。

 そして彼の言うことは尤もだ。自分しか見ることができない、触れない空間を創り出せるとなると、そこに隠したいものを隠すことができてしまう。それに比べると、他者も干渉できる空間というのは共同の倉庫などに使用できるはずだ。そう考えると、空間を生成できる魔法は人類の常識に悪影響を及ぼすような魔法にはならないと考えられる。

 スーンは頷き、ゲシハーに対して作戦の続きを話すよう促した。

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